犯罪が多発する地域や紛争国で誘拐やテロの危険からスタッフを守るために、現在多くの企業が民間のセキュリティ会社と契約を結び、リスクヘッジに努めている。特殊部隊出身らを雇い、危険な地域で警備活動させるセキュリティ会社も少なくなく、10年ほど前から民間軍事会社という言葉が広く使われるようになった。

軍や警察が当てにならない地域で
“安全”を売る民間軍事会社

要人警護に従事する民間軍事会社の警備員たち Photo:AP/AFLO

 イラクやアフガニスタン関連のニュースでよく出てくるのが、民間軍事会社を意味する「プライベート・ミリタリー・カンパニー」やその会社に雇われたセキュリティ・コントラクターと呼ばれる契約警備員だ。民間軍事会社は重装備の警備員を使って要人や施設の護衛を行うだけではなく、兵站や情報収集と分析も業務の中心と位置付けている。

 米連邦議会内の独立委員会「戦時契約委員会」の調べでは、イラクとアフガニスタンの2国だけで、最盛期には約26万人の「民間人」が米政府の業務を請け負う形で活動していた。筆者は2004年夏、軍のアウトソーシング化について調査するブルッキングス研究所のピーター・シンガー氏に取材をした経験があるが、シンガー氏は当時「イラクだけで少なくとも2万人の武装した民間警備員が活動している」と語っている。シンガー氏によると、当時は民間警備員の需要があまりにも高かったため、イラク国内の民間警備員の数を把握できないペンタゴンがシンガー氏にアドバイスを求めることもあったのだという。

 危険な地域でのセキュリティとは、どういった形のものなのか?前出のコンサルティング会社代表が、最近仕事でイラクを訪れた際の様子について語る。

「現在も中東地域で活動を行っているが、イラク出張の際には民間軍事会社とセキュリティ契約を結んでおり、10人近くの警備員が常時護衛してくれる。警備会社に支払う額は地域や内容によって異なるが、1日2500ドルの時もあれば、1万ドルかかるケースもある」

 コンサルティング会社代表は、イラク国内の移動の際にかかる警備コストは各地域の安定度によって変動するが、爆弾テロなどが頻発する首都のバグダッドや南部と比べて、豊富な天然資源を背景に治安や経済に安定化の兆しが見え始めた北部ではセキュリティ料金も安くなるのだという。代表が話を続ける。