独自性を生むためにテーマから離れる

 それを解消するために、どうするか。

 いったん、テーマから離れてみるのです。そうすると結果的に、誰かとかぶることのない、独自性のあるキーワードが生まれやすくなります。

 具体的なことは次ページ以降に書きますが、人とまったく違うところから発想をスタートさせるので、そこから出たキーワードは「おっ! そうきたか」という新鮮な驚きを与えることができます。

 マラソンのレースを想像してください。全員が同じスタート地点から走り出すので、途中までは多くのランナーが群れています。これが、テーマから考えている状態です。

 ですが、一人だけ違うスタート地点から走り出したら、どうでしょう? かなり目立ちます。そして、「ただものじゃない」と注目を浴びることができます。

 僕がやっているのは、これです。

 斬新なアイデアを出し続けているように見えるかもしれませんが、それは「アイデア発想のスタート地点を変える」という、単純なテクニックによるものです。つまり、「テーマから離れて考える」というアプローチです。

 マラソンでは失格になりますが、幸いにも、アイデア思考には「スタート地点を変えてはいけない」というルールはありません。

キーワードは2、3個でいい

「テーマから考える」ことが悪いわけではありません。

 ここでまず、みなさんに知っていただきたかったのは「無理にテーマから(だけ)考えなくてもアイデアは生まれる」ということです。そして、テーマから考えて「何も浮かばない……」というときにも、「簡単な抜け道がある」ということです。

 それが、ほとんどの人がやっていない「テーマから離れて考える」という手順です。

 そのためにも、テーマから考えるときに僕は次のポイントを意識しています。

・この時点でキーワードは2、3個出ればいい
・ここに時間をかけない
・模造紙や付箋、アプリなど、ものに頼らず、頭の中でふわっと考える
・一人で行う(グループワークやミーティングは各自考えたものを持ち寄る)
・すごいアイデアを出そうとしない

「テーマから離れて考える」とは具体的にどうすることなのか。

 じつは「ズバリ! こうしなければいけない」というきまりがあるわけではありません。まずは、僕のやり方を紹介しますので、ご自身がやりやすい方法にアレンジしていただければと思います。