拡大する空き家問題に
DXでソリューション提供
では、なぜこれほど空き家が増えているのか。国交省が調査した詳しいデータ(「令和元年空き家所有者実態調査」)がある。
空き家所有者のプロフィールを見てみると、約55%の所有者が相続で空き家を取得している。また約3割が空き家から車や電車で1時間以上かかる遠隔地に居住しており、所有世帯の家計を支える人の6割以上が65歳以上の高齢者となっている。
空き家所有者の約3割がこのまま空き家にしておくと考えており、その理由としては、費用や労力の問題、更地にしても用途がないこと、住宅の損傷が激しいこと、当該地に借り手や買い手が少ないという点などが挙がっている。空き家の管理は、実に9割が所有者やその家族、関係者などで、十分な管理が行われていないことが推察される。
同じ空き家でも、建物の状態が良く、立地場所の住宅需要が高ければ、リノベーションや更地にして売却・賃貸は比較的容易だろう。しかし所有者が空き家から遠隔地に居住して、管理もままならない場合は、年とともに建物の劣化は進む。
また少子高齢化が進み、人口減少に歯止めが利かない今、住宅の需要も減ってくることが予想される。だとすれば、今後空き家がさらに増加していくことは火を見るよりも明らかだ。
こうした空き家問題を解消する具体的な方策としては、解体する、リノベーションを施し賃貸・売却するなどの方法がある。また適切に物件を相続できていないケースもあり、まずは相続して所有者をはっきりさせることも必要だ。
最近、こうした個々の解決法に対し、テクノロジーを導入することで、これまで解決を阻んでいたハードルを乗り越えようとする企業が現れてきた。次回は、DXによって空き家問題に挑んでいるベンチャー企業を紹介しよう。