「お留守番禁止」「ゲームは1日1時間」…県民をナメた条例案はなぜ生まれるのか?Photo:PIXTA

先日、明らかになった子どもを車内や自宅などに放置することを禁じる埼玉県虐待禁止条例の改正案は、全国から批判が殺到。罰則はないが、子どもを置いて短時間のゴミ出しなども場合によっては「虐待」にあたるという内容に「現実的ではない」「親を追い詰める」などの声があがり、改正案を提出した自民党埼玉県議団は撤回を余儀なくされた。一方、3年半前に、同じく全国的に炎上したのが「ゲームは1日60分まで」という時間の目安を盛り込んだ「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」だ。『ルポ ゲーム条例 なぜゲームが狙われるのか』(河出書房新社)を上梓した瀬戸内海放送の山下洋平記者に改めて条例の問題点と現在地を聞いた。(清談社 沼澤典史)

大ざっぱな条例内容と
水増しされたパブコメ

「埼玉県の条例改正案について報道で知ったとき、香川県のゲーム条例とよく似ているなとまず感じました。保護者に過度な責任を押し付けるような中身もそうですが、それまであまり注目されていなかったのに成立の直前になって全国から批判が集まったところもです。ただ、大きく違うのは、埼玉では案が取り下げられたのに対し、香川県議会は強行して条例を成立させてしまったところです」

 こう話すのは瀬戸内海放送の山下洋平記者だ。2020年、香川県で施行された「ネット・ゲーム依存症対策条例」について現在まで追及を続けている。ネットやゲームの利用時間などに言及した条例としては日本初。しかし、その条例の中身には問題点も多く、不透明な点が多くあった。

 条例の問題点を山下氏はこう語る。