世論も「8割」が支持だが
懸念される一般信者の「不利益」
文科省は、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する解散請求の申し立てを10月13日、東京地裁に行った。
7回の質問権行使の結果を宗教法人審議会に前日、報告し審議会が了承したのを受けて行った。
ほぼ予想された通りの展開で、マスコミの世論調査でも、約8割の人が旧統一教会の解散請求を支持、評価している(時事通信78.3%、毎日新聞83%、朝日新聞81%)を支持している。
しかし一連のプロセスは、安倍晋三元首相銃撃事件というショッキングな出来事や自民党と旧統一教会との選挙協力や各種イベントへの参加といった形での「癒着」が指摘されるなか、国政選挙前に国民の批判や反発を鎮めたいという政治的な思惑が先行した感が強い。
元信者でもある筆者から見れば、とりわけ文科省が解散請求に当たって現役の多くの一般信者の意見を聴いた形跡がないことには疑問がある。
また「違法行為」に教団のどれくらいの割合の人がどのように関わっていたらアウトなのか、過去のどの時期の行為を請求の対象にするのか、といった基準も明確でない。
霊感商法や高額献金の強制などの問題に関わっていない信者が不利益を受けることはないのか、彼らの信教の自由は守られるのか、何を基準に宗教団体が存続不可能と判定するのかなど、国家と宗教の関係を考える上で、いくつかの重大な問題が置き去りにされている。