2011年3月の東日本大震災で発生した震災がれきを全国各地で受け入れて処理する、いわゆる震災がれきの「広域処理」。現在大阪市が計画している「広域処理」に対して反対運動が続いているが、そうした反対派の逮捕が相次いでいる。2012年12月には関西の広域処理反対運動のリーダー的な存在である阪南大学准教授の下地真樹氏ら3人が逮捕された。下地氏ら2人は20日の勾留後、釈放されたが1人は起訴された。がれき広域処理の反対運動に対する弾圧との指摘もある一連の警察介入の真相に迫るとともに、今年2月から震災がれきの受け入れを本格実施した大阪市の状況を報告する。
下地氏らの逮捕を憲法違反と抗議
「憲法21条1項の保障する表現の自由を不当に侵害する」
2012年12月17日、憲法学者6人が呼びかけて発表した声明は、阪南大学経済学部・下地真樹准教授ら3人の逮捕を批判する。
計70人の憲法学者が賛同(12月22日段階)するこの声明は、10月17日のJR大阪駅前での震災がれき受け入れ反対を訴える宣伝活動に対して、威力業務妨害罪(刑法234条)や不退去罪(同130条)を適用した下地氏ら3人の逮捕が憲法違反だと抗議し、即時釈放を要求した。本連載第18回で明らかにしたように、「駅員らがたびたび退去を求めたが退去しなかった。駅構外に出ることもせず、不退去の十分な容疑が認められる。(駅コンコース移動時に)被疑者自身が駅員と押し合いになった。デモ行進で被疑者が大声を出していたなど、駅員等の業務を妨害することについて、黙示の共謀がある」というのが、勾留理由開示公判で明らかにされた検察の主張である。
これら検察側の主張する状況が実際にその場にいた人びとの見聞きした状況と大きく異なることをこれまで報告してきたわけだが、今回は憲法学者の視点から改めて下地准教授ら3人の逮捕について捉え直したい。
12月22日に大阪市内で開かれた記者会見で、憲法学者による声明の呼びかけ人の1人、龍谷大学法科大学院の石埼学教授(憲法学)が下地准教授ら3人の逮捕が「表現の自由を侵害」する理由を詳しく説明している。