2011年3月の東日本大震災で発生した震災がれきを全国各地で受け入れて処理する、いわゆる震災がれきの「広域処理」。現在大阪市が計画している「広域処理」に対して反対運動が続いているが、そうした反対派の逮捕が相次いでいる。2012年12月には関西の広域処理反対運動のリーダー的な存在である阪南大学准教授の下地真樹氏ら3人が逮捕された。下地氏ら2人は20日の勾留後、釈放されたが1人は起訴された。がれき広域処理の反対運動に対する弾圧との指摘もある一連の警察介入の真相に迫るとともに、今年2月から震災がれきの受け入れを本格実施する大阪市の状況を報告する。
ごった返す大阪地裁の法廷前
2012年12月18日午後3時15分ごろ、大阪地方裁判所の6階にエレベーターで上がったところで、思わず声を上げそうになった。
やたら混み合った廊下で、「職員」の名札をつけた制服姿の男女が開店直後のデパートのように、ずらりと整列していたからである。デパートと違うのは、とくに挨拶をするでもなく若干うつむき気味に無言で並んでいることと、1つの法廷の周囲に数十人という人数の多さである。
よほど驚いた顔をしていたのか、近くの人が「法廷警備員ですよ」と教えてくれた。
法廷の警備を担う裁判所事務官がいることは知っているが、1つの法廷の警備に何十人も投入されているのを見ることはそうあるものではない。のちに傍聴者からこう聞かされた。
「この関係の公判ではいつもですよ。この間なんて、いつもはない衝立があったので奥をのぞきこんだら、機動隊が何十人もいました。廊下にある長椅子も撤去されているでしょ。あれは機動隊が(対象者を)強制的に排除するとき邪魔になるからどけてあるんです。今日は機動隊が見当たりませんが、きっと建物外にバスで待機していると思いますよ」
JR大阪駅構内で無許可デモを敢行し、駅員の業務を妨害したなどとして逮捕された阪南大学経済学部・下地真樹准教授の勾留理由開示公判は、何十人もの警備員が廊下に整列するものものしい雰囲気のなか、午後3時半大阪地裁604号法廷で始まった。