住宅宿泊事業法の改正で
民泊オーナーが続々参入

 重松氏がスペースシェアリングに注目したのは、2013年ごろ。「Airbnb」や「Uber」などのシェア事業がアメリカで急成長しており、その流れはいずれ日本にもやって来ると確信したという。ただ、当時の日本は宿泊業に関する法律が厳しく、アメリカのような展開が望めなかった。そこで注目したのが、スペースの時間貸しだった。

「時間貸しなら規制がほとんどなかったことと、実際に貸し会議室のサービスが伸びていた時期で、ビジネスにポテンシャルを感じ、その土俵で戦おうと決めました」

 検索から予約、決済まで一気通貫ででき、成果報酬型で登録のリスクもない。自社のサービス自体には自信があったが、スペースの時間貸しというビジネスモデルへの理解を得て、事業が軌道に乗るまでは2年ほどかかったという。

「その頃、専業でスペースシェアを始める人が出てきたんです。試しに登録してみたら思いのほか利益が出て、本気になったということだと思います」

 さらに2017年に入ると、民泊を手掛けていたオーナーたちもスペースマーケットへ流入してきた。

「住宅宿泊事業法の改正により、簡易宿泊所の免許がなければ通年の貸し出しができなくなると決まって、儲けにつなげにくくなりました。そこで、法の制限なく施設を貸し出せる当サービスへの関心が高まったのです。民泊と違いリネンの洗濯といった管理業務も必要ないなど、参入障壁が低かったこともあり、登録数が一気に増えていきました」

 それに伴ってスペースマーケットも、売り上げが前年度比300%と急成長した。コロナ禍による打撃で、2020年度は赤字に陥ったものの、翌年から再び黒字転換し、さらなる成長を続けて今に至っている。