DXが拓く建設業の未来、デジタル化で500万人の労働環境を改善せよ!建設現場の生産性向上はテック活用が鍵

時間外労働の上限規制を定めた「2024年問題」が、建設業界に大きな影響を与えるのは必至といわれている。厳しい状況にある業界の課題解決に不可欠なのが、労働環境のデジタル化だ。未来に向けて情報発信を行う建設DX研究所の代表・岡本杏莉氏が語る業界の現状と同研究所の取り組みを、2回に分けて掲載する。

深刻な人材不足と
押し寄せる高齢化の波

 まず、建設業界の人材不足がどれだけ深刻な状況にあるか、データで表してみよう。

 国土交通省によると、建設業界の就業者数は、ピークの1997年で685万人。それが2022年には479万人と、25年間で200万人以上も激減している。さらに問題なのが、その年齢構成比だ。

 97年は55歳以上が24.1%、29歳以下が22.0%とほぼ拮抗していたのが、22年には55歳以上が35.9%になり、対する29歳以下が11.7%と半減しているのだ(図1、図2)。

 「職人さんもすごく減っており、例えば大工さんは、2000年代初頭には50~60万人いたのが、今は30万人を切っています。30年には20万人にまで落ち込む予測もあります。特に10代の大工さんは、今でも2万人程度しかいないのではないかといわれています」

 建設DX研究所代表の岡本杏莉氏は危機感をあらわにする。他の産業では類を見ない、急速な人材の減少と高齢化。建設業界は、なぜこのような状況になってしまったのか。その理由として岡本氏は、過酷な労働環境を挙げる。