コエンザイム10やビタミンEを
上回る抗酸化力

「刺激のない状態、すなわち、呼吸による活性酸素産生の場合は、CBDを加えることで活性酸素が22%低下しました。抗酸化成分として知られるコエンザイムQ10でも同様の実験が行われていますが、こちらでは3%の低下しか見られませんでした」

 CBDは、高い抗酸化力で知られるコエンザイムQ10を上回り、細胞内の活性酸素を強力に抑えるという結果に。老化の約8割を占めるとされる「光老化」についてはどうだろうか。

「主要な原因である紫外線(UV-B)を加えた場合は18%、環境汚染などの酸化ストレスを加えた場合も20%、CBDは細胞内の活性酸素を低下させました。先ほどのコエンザイムQ10と同じく、抗酸化成分の代表格であるビタミンEでも過去に同様の実験が行われましたが、こちらは7%という結果でしたので、ビタミンEと比較しても、CBDは細胞内の活性酸素を抑える力が非常に強いことが伺えます」

 紫外線や環境汚染、過度なストレスなど、さまざまな要因で発生する活性酸素が老化を進行させてしまうが、今回の実験により、CBDには活性酸素の産生を抑える効果があることが示された。

 活性酸素から表皮細胞を守ることで、コラーゲンを上昇させ、炎症・発がんリスクを低下させるほか、再生といった肌本来の機能が活性化することで、老化の予防につながる。つまり、シミ、しわ、たるみといった肌の悩みを軽減させる。

 さらに、別の研究によって、CBDは肌のうるおい、バリア機能、弾力の保持や抗炎症作用など、肌の健康維持にも優れた効果を発揮することが明らかになっており、肌機能全体の底上げが期待できる。今回の研究成果は、不確かで曖昧なCBD市場に一石を投じるものではないだろうか。

 今後ますます目にする機会が増えるかもしれないCBD製品。消費者としては、研究の進化にも注目していきたい。

(監修/吉崎歩 東京大学大学院医学系研究科・医学部 臨床カンナビノイド学講座特任准教授・講座長)