先ほど「健康になりたい」というのは、それ自体がやりたいことにはなり得ないと述べましたし、私にとっても体力づくりは、やりたいことそのものではありません。やりたいのは、登山を75歳までは続けたい、槍ヶ岳に登りたいといったことです。しかし、もし槍ヶ岳を目指すなら、北アルプスを2泊以上かけて縦走する必要があり、いくら仕事好きな私でも仕事にばかり時間をかけていては、体を作る時間が足りなくなってしまいます。そこで、忙しい中でも月に1回は山に登ったり、1シーズンに1度はハーフマラソンかフルマラソンに出たりすることの優先度を上げる必要が出てきていると感じています。
何かやりたいことをやるためのステップとして、別のことをクリアしておいた方がよいなら、その順序や優先度は考慮した方がいいでしょう。
「時間がない」はウソ
別のことを優先している言い訳だ
私たちはよく「やりたいことはあるが時間がない」といいますが、それはウソです。時間はすべての人に平等に与えられています。何かをする時間がないというのは、自分が意志を持ってそれを優先していないということに他なりません。
「仕事が忙しくて病院に行く暇がなかった」というのは「健康に不安を感じていても、病院に行くことより仕事をすることを優先していた」ということですし、「勉強する時間がなかった」というのは「知識を得ておいた方がいいと感じていても、勉強より別のことを優先していた」ということになります。
時間をなかなか捻出できないでいる人も多いかと思いますが、私の場合は、仕事や家庭の予定と同じように、登山やランニングの予定をスケジュールに入れて、時間を確保しています。登山では、先に山小屋やバスを予約してしまうという手もよく使っています。
やりたいことリストを作る利点は、自分がやりたいことを日々自覚できることです。それを常々眺めて意識していると、自分が本当に優先して時間を使うべきことが何か、見えてくるようになります。私自身も今、それを実践しながら生活しているところです。
(クライス&カンパニー顧問/Tably代表 及川卓也、構成/ムコハタワカコ)