絶景の“裏剱”を眺め
地下水で喉を潤してから黒四ダムへ…
インクラインを降りると、この旅も終盤。最後は電気バスに乗り換えます。
ここでの見どころは途中の棒小屋沢(下ノ廊下の十字峡に流れ込む沢)の展望台です。ここまで進んできたのはほぼ地下の世界だったのですが、ここからは天気が良ければ冒頭の裏劔が望めます。
谷の中にぽっかりとあいた荷物運搬用の穴から登山者には憧れの劔岳を裏側から望みます。アルペンルートの最高地点は室堂ですが、そこから見る劔の景色に比べ、ここから見る劔はより荒々しく、簡単には人を寄せ付けない姿を見せつけています。
取材開始から約5時間はたっていましたが、充実の時間だったため、あっという間に黒部ダムに到着した感覚です。扇沢からダムへ来る降車場のすぐ横から、国内外の観光客でにぎわう終着点につきました。
今回のルートはインクラインやトロッコなど、普段乗れない乗り物で移動できる魅力以外は、ほぼトンネルの中を乗り継ぎ進む、アルペンルートに比べて地味なものかもしれません。
ですが、日本の歴史を作ってきた建造物の“体内”を進む高揚感。こんな険しい場所に発電所を作ろうと考えとそれを実行した先人たちへの畏怖。それは普通の旅行では絶対に味わえない、とても充実感あるものでした。アルペンルートを経験された方なら、なおさら体験していただきたい峡谷旅と言えると思います。
このキャニオンルートのツアーは宇奈月温泉側と黒部ダム側から各30人、午前・午後の2回催行されるそう。夏~秋の1ヵ月少しの予定とのことなので、1年で4000人程度しか参加できない計算です。
プラチナチケットになる前に体験してみてはいかがでしょうか? 個人的には段々と高度を上げていった歴史を感じながら欅平側から参加するのがオススメです。