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海外・国内旅行ガイドブックの決定版『地球の歩き方』から、今回紹介する記事は「黒部ダム、2024年解禁『伝説の裏ルート』 を一足先に歩いて来た!」です。黒部川第四発電所建設などの工事用ルートとして整備された、黒部峡谷の欅平から黒部ダムをつなぐ新ルート「黒部宇奈月キャニオンルート」が、2024年度から一般に開放されます。それに先立ち、同ルートを歩いてきた「地球の歩き方編集部」による実況ルポをお届けします。(写真・文/地球の歩き方編集部 上原康仁)
黒部宇奈月キャニオンルートとは?
トロリーバスやケーブルカー、ロープウェイなどを乗り継ぎ、巨大な人工物である黒部ダムと雄大な立山の自然を一度に楽しめる立山黒部アルペンルートは国内外を問わず観光客を集める人気スポットです。関東からの旅行者にとっては、北陸新幹線ができたことで長野側を往復するだけでなく、雪の大谷の中を富山側に抜けていくルートも取りやすくなりました。
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このアルペンルートを黒部の“表”としたとき、黒部峡谷トロッコ電車は、“裏”といえる存在かもしれません。温泉とそこから延びる観光用のトロッコ列車だけでしょ?というイメージが先行するかもしれませんが、映画やドラマにもなった『黒部の太陽』の難工事や、吉村昭の小説『高熱隧道』で有名な黒部ダム建設の舞台はこの黒部峡谷が玄関口なのです。
実はこのトロッコ列車は、宇奈月温泉から欅平を1時間20分で結ぶ観光列車ですが、その軌道は欅平の奥のトンネルから先へと続いています。
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欅平から高熱隧道、仙人谷を通り、黒部川第四発電所(黒四)を抜け、インクラインに乗り継ぎ、20km先の黒部ダムを乗り継ぐ、まさに黒部の“裏”を垣間見ながら抜けられる、これが「黒部宇奈月キャニオンルート」です。
これまで関係者や一部の見学者しか見ることのできなかったこのルートが2024年にツアー商品として解禁予定とのことで、実際に体験してきました。