車両を入れ替えない運送会社に待ち受ける暗澹とした未来
設備投資を会社の方針としてしっかり位置づけている会社もあれば、一方で、まったくできない会社もありました。
古い車両しか所有していない会社の経営者と話す機会があり、なぜ「設備投資」をしないのかと聞いたことがあったのですが、社長の答えは「なかなか……」のひと言でした。社長はいつも口癖のように、「儲からない、儲からない」と言っていました。
運送では、精密な荷物を運搬するには、エアサスペンションを搭載するのは必須です。
エアサスペンションは、空気の力で衝撃を和らげるバネで、荷物を傷つけてしまう確率を大幅に減らすことができます。運送距離が延びれば延びるほど、その差は顕著になります。
また、ウイング付き(荷台部分の側面が開くタイプ)か、平ボディー(屋根のないフラット型のタイプ)かも重要です。
シートを被せて固定するには、ドライバー一人で約2時間かかります。
着いた先で下ろすときも、シートを外すのに2時間かかるため、計4時間をとられます。それだけの時間がセーブできれば、ドライバーの負担が減らせますし、運搬の効率も改善できます。
荷主の理解は、それ以上に必要です。強引な納期を押しつけることはできません。
ウイング付きのトラックを持っている会社は、女性ドライバーを多く採用しています。
2024年4月から、就労時間の上限が厳しく規制されるようになります。トラックのドライバーに対して、残業時間が限定されるのです。そうなると、「儲からない」「金がない」とぼやいて「設備投資」を渋る会社と、「設備投資」を会社の方針として積極的に位置づけている会社との差は、ますます開いてくるかもしれません。
効率に大きな差がつくだけでなく、ただでさえ人手不足の業界で、ドライバーを取り合うことになったとき、ドライバーは設備投資をする会社としない会社のどちらを選ぶでしょうか。
淘汰が始まります。投資をしない会社は、廃業の危機が来るのではないでしょうか?
運送業界の「2024年問題」の解決策は、設備投資が鍵を握っています。
戦略的な「設備投資」が必要であることは、このような例を見ても、はっきりとしているのです。