領域間の越境を促すためにこれまでの3倍に増やしたもの

──具体的な活動はどのように変わったのでしょうか。

 先ほど少しお話ししましたが、最初に提案したのは「会議を3倍に増やし、ビジョンを話し合う場に変えること」です。年2回の会議では事務的な報告だけで終わってしまう。これを年6回に増やして、ワークショップ形式で色んなイシューを語り合おうと。経済産業省のデザイン政策関係者にも参加してもらい、共に国のデザイン政策について語り合うなど、毎回外部からゲストを招きました。

 私の任期中にワークショップ形式で会議を10回やったのですが、いずれも非常に盛り上がりました。もともと歴史あるデザイン団体の理事長の集まりですから、皆さんクリエイティブで人望もある。シンプルに面白い人ばかりなんですよ(笑)。そんな面々が自由に未来を語り合う場が面白くないはずがありません。2カ月ごとに顔を合わせているうちによく知った仲間になって、「合同でイベントを開催しよう」とか、「リブランディングをやろう」と、盛り上がっていきました。

──23年6月に、DOO主催の「Japan Design Summit 2023」が開催されていますね。

 大きい名前を付けさせていただきましたが、こんな名前が付けられるのもまたこの団体しかないように思います。実際それに恥じない素晴らしい合同イベントになりました。元々は、6月に総会をするJIDA、JAGDA(日本グラフィックデザイン協会)、DSA、JID(日本インテリアデザイナー協会)の4団体で総会を合同開催しようというところからスタートした企画ですが、どの団体にも独自のデザインアワードがあるので、せっかくなら、ということで、この場を活用して22年度の受賞作品を題材に各団体の代表がクロストークするシンポジウムを併催しました。領域を横断したデザインの潮流が浮かび上がってきて、非常に面白い試みになりました。そしてそのサミットの締めくくりに、DOOへの名称変更を発表しました。

 このサミットは参加者からも好評で、誰もがこういう場を求めていたことがよく分かりました。私みたいに背景や慣習をよく分かっていない人が幹事理事長になって、率直にやりたいことをみんなで話し合い、提案したのが良かったんでしょうか。同様のサミットを今後も2年に一度実施できるよう議論しています。

デザインの適応進化を加速せよ──太刀川英輔が語る、デザイン団体の変革の理由©DOO