企業も人材も
現状維持はNG

 企業の経営者は、株主から成長を求められています。成長をつづけるためには、現状維持では許されません。すなわち、資本主義の論理というのは、「投入する資源」(人や設備)をより少なくして、「生み出す成果」(収益)をより多くすることを求めています。投入する資源を増やして、生み出す成果が大きくなったとしても、「それは当たり前」というのが経営の考え方なのです。

 ビジネスパーソン一人ひとりの視点でみると、より少ない時間と人数で、より大きな成果を上げることを求められている、ということになります。それができれば給料は上がりますが、投資対効果として同じレベルの成果を出しつづけていても、「生産性が向上していない」と判断されて、給料が下がって仕方がない状態です。

 つまり、会社が成長を求められているということは、そこで働くビジネスパーソンも、現状維持ではなく、より生産性の高い人材を目指すことが要求されている、という大前提をしっかりと理解する必要があります。

 だとすれば、ビジネスパーソンが考えなければならないのは、毎年毎年、前年よりも制約された条件のなかで、前年以上の価値を創出するために、自分はどうなっていけば良いのか? という問題だといえます。このような時代の変化を踏まえると、自分の処遇や給料が上がらないことに不平不満を言うよりも、自分のスペシャリティを探す旅に出たほうが、自分らしく前向きなキャリアを歩めそうです。

 真面目に普通に努力していると、だいたいの人は「平均点」付近に集まってきて「コモディティ化」することになりますので、同じ土俵に立ってガチンコ勝負で並外れたパフォーマンスを出せる自信がない限りは、どうすれば自分の土俵をつくれるかということを考えたほうが賢明といえます。