今から3年後、5年後のビジネスにおいて、ビジネスパーソンの最大のライバルとなるのは、競合する他社や他業種から入ってくる企業のビジネスパーソン以上に、おそらくAIだと考えられます。そして、ChatGPTの登場によってパンドラの箱が開けられた感がかなり漂っていますので、こうなってくると自分が想定しているよりはるかに速い進化が、あっという間に目の前に迫ってくると心づもりしておくことが重要です。
AIの進化がどれぐらいのスピード感で、どこまでレベルを上げていくのかをイメージするのにいい事例として、囲碁におけるAIと人間の戦いがあります。このストーリーを知っておくと、人工知能と自分の頭脳を同じ土俵で戦わせては絶対にダメだということがよくわかります。
「実装フェーズ」に
入りつつあるAI
では、AIにできる仕事とAIにはできない仕事を、どのように見極めればよいのでしょうか。
多くの人は、自分がやっている仕事はAIに取って代わられるはずはない、もしくは、そうなるとしてもだいぶ先のことだろう、と考えたくなると思います。こういった技術革新というのは、ガートナー社が提唱する「ハイプ・サイクル(6*)」で示されているように、テクノロジーは最初に登場したときには過剰な期待が寄せられてブームになりますが、そのあと幻滅期に入って急に熱が冷めていくパターンが多いとされています(図1)。
今でいうとメタバースがちょうど期待のピークで、IoT(モノのインターネット)は関心が失われた底のあたりにいるといった具合です。AIに関しては、最初のブームが1950年代に始まって、現在は第4次ブームといわれていますので、過熱と幻滅を経て技術の成熟度が増しており、いよいよ本格的な実用フェーズに入っていく可能性が高いと考えられます。