AIが苦手な領域の
専門性を身につける

「アルファ碁ゼロ」の事例にあるように、これから身につける専門性は、ゼロから学習してもあっという間に人類を超えるレベルまで知能を進化させられるAIが「苦手な領域」であったほうが望ましいといえます。プログラミングや英語、会計など、ビジネスパーソンにとって重要視されている高度なスキルも、AIの得意領域に入ってしまっていますので、そういった専門性の価値は、今後急速になくなっていく可能性があります。

 現状、AIが不得意で人間のほうが優れていると考えられている能力は、「創造的思考」や「社会的知性」です。創造的思考とは、抽象的な概念を整理したり創出する力で、社会的知性とは、交渉や説得といった高度なコミュニケーションもしくは他者とのコラボレーションをする力になります。こういった力を活かせる専門性を身につけていけば、生き残れる可能性が高いということです。

 自分の仕事が自動化されることはなかなかイメージがしにくいかもしれませんが、わかりやすい例を挙げると、自動改札機ができたことで切符切りをする駅員さんがいなくなったのは、新たなシステムによって業務効率化が実現したケースといえます。

 今後起こりそうな事例としては、エクセルやワード、パワーポイントで資料作成する仕事も、人間ならではの創造的思考を発揮する内容でなければ、自動改札機と同じように、AIなどによってシステム化されていく流れにあると考えられます。

 一度システム化されると、その仕事が復活することは二度とありませんので、テクノロジーの進化とともに専門性は常に移り変わる、ということを意識するのが大切です。仕事が自動化されていくのは決して悪いことではなく、機械による効率化が実現することで、人間は人間にしかできないような、創造的でより付加価値の高い仕事に専念できるようになります。