AIに仕事が取って代わられる議論については、今から10年前の2013年に機械学習を専門とするオックスフォード大学教授のマイケル・オズボーンさんらが、「雇用の未来」(The Future of Employment)という大変重要な論文を発表しました(7*)。その論文では、アメリカにおける雇用の47%が自動化するという分析結果が示されており、世界に大きな衝撃を与えたのです。
702の職種のうち、コンピュータに取って代わられる可能性が高い(90%以上)仕事として、表1にある職種が挙げられています。
日本においては、野村総研がオズボーンさんたちとの共同研究を行い、「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に:601種の職業ごとに、コンピューター技術による代替確率を試算」(2015)というニュースリリースを出しました(8*)。コンピュータで代替できる職種に該当する労働人口の割合は、アメリカより高い結果です。
「公認会計士」「司法書士」「弁理士」などは自動化される可能性が高く、「弁護士・裁判官・検察官」「大学教員」「パイロット」「医師」「映画監督」などは自動化の可能性は低いとされ、「ジェネラリストの総合職」ではなく「高能力のエキスパート」が求められるようになると考察しています(9*)。
(9*)…https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000186905.pdf
上の表では、具体的な職種についてはほんの一部だけを抜粋していますので、現在の自分の仕事がこのなかには該当していなかったとしても、全体としてはアメリカでも日本でも労働人口の半分近くが、AIに仕事を奪われてしまうという予測です。だとすると、半分近くの人は「無用者階級」になってしまうリスクがありますので、今の仕事の専門性ではない、何か新しい専門性に目を向けておく必要があるということになります。