リスキリングの概念は、ダボス会議をきっかけとして、DXの潮流に乗って、デジタルシフトやデータ活用の高度化を目的としており、パーソル総合研究所の調査では「デジタル・リスキリング」(ITツールや統計データ解析、プログラミングなど)の経験者が、全国の正規雇用者全体の2割程度いることが示されています。

 この調査結果で注目すべきは、〈知らない領域の知識を新しく学び直した経験がある〉〈新しく仕事の専門性を広げた経験がある〉という人が、3割程度いることです。〈知らない領域の知識を新しく学び続けている〉〈仕事の専門性を広げ続けている〉人も3割近くおり、〈新しく出てくる業務上のツールやスキルを学び続けている〉人よりも多い割合になっている点は、興味深いデータです。「ツール」や「スキル」といったこと以上に、「新しい知識」や「専門性」に対する関心があるということは、ビジネスパーソンの意識改革への兆しが見えつつある、と捉えられるのではないかと思います。

 しかし小林さんが指摘するように、リスキリングがスキルに対するニーズを明確化することを前提としている点で、〈市場のスキル需要が変わる速度に適応できない〉という決定的な弱点があります。市場で求められるスキルの変化速度はどんどん速くなっており、今必要なスキルを身につけることだけでなく、〈学びへの「意思」を創ること〉自体がとても重要だと強調されています。

大学・大学院で
学び直す芸能人たち

 最近は、芸能人が大学で学び直すこともトレンド化しました。2023年は、タレントの恵俊彰さん、ラグビー元日本代表の五郎丸歩さん、サッカー元日本代表の川口能活さんと福西崇史さんが、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の修士課程を修了しています。小倉優子さんが白百合女子大学に入学したことも話題になりました。それ以外にも、ロンドンブーツ一号二号の田村淳さんは慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科を修了し、アナウンサーの永井美奈子さんは慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科を修了、女優の秋吉久美子さんは早稲田大学大学院公共経営研究科を修了、女優の菊池桃子さんは法政大学大学院政策創造研究科を修了しています。