タレントのいとうまい子さんは早稲田大学大学院人間科学研究科を修了して博士課程に在学中、芸人のエド・はるみさんは慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科を修了して筑波大学大学院人間総合科学研究群の博士課程に在学中、芸人の東貴博さんは駒澤大学法学部に在学中、タレントのスザンヌさんは日本経済大学経営学部芸創プロデュース学科に在学中、歌手の相川七瀬さんは國學院大學神道文化学部に在学中です。私の身近でも、電通の社員には、会社とは関係なく自主的に、早稲田のビジネススクールで学び直した人が何十人もいます。

キャリア難民に
陥る人々の特徴

 社会人の学びについては、リスキリングがブームになる以前に書かれた立教大学教授の中原淳さんによる『働く大人のための「学び」の教科書』(2018)で整理されている、働きながらいかに学ぶことができるかについての考え方が参考になります。

 健康寿命が延びることに伴って長期化する仕事人生を全うするためには、特に仕事人生の後半で、時代の変化に応じて新たに必要になる知識を学び直し、自分を立て直すことが必要だとします。長いキャリアを歩むなかで遭難してしまう人の特徴として、過去の成功体験にあぐらをかいたり、変化することをためらったり、学びから逃げてしまうといった傾向が指摘されています。

 そうならないように、大人が学びつづけるためには〈新たな環境変化に対して「好奇心」や「興味」を失うことなく、自分を常にモニタリングし〉〈他人に学びを強制されるのではなく自ら決める〉ことがポイントで、自分のキャリアや将来を組織まかせにしない、という意思の力が重要だとアドバイスをします(2*)。

(2*)…具体的な行動として「本を一トン読む」「越境する」「フィードバックをとりに行く」「場をつくる」といった学び方を提示している。