大切なのは
自ら学ぶ意志

 以上のように、リスキリングを研究するパーソル総合研究所の小林祐児さんも、大人の学びの専門家である中原淳さんも、「自律的に学ぶ意思」ということの大切さを同じく主張しているのです。リスキリングや学び直しといった社会人の勉強熱が徐々に高まっているのは、「このままだとヤバいかも」という危機感の表れとみてとれますが、欧米諸国に比べるとまだまだビジネスパーソンのプロ意識が低く、プロフェッショナルとしての自分はどういう専門性で戦っていて、専門性にどうやって磨きをかけていくか、といった流儀(3*)は持ち合わせていない状態といえます。

(3*)…NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」。(https://www.nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/

 とりわけデジタル・リスキリングなどは、必要に迫られて会社から要請されている学びですので、誰かに強制されるのではなく自ら学ぶ意思をもって、自分の時間を使って自主的に練習することが非常に重要です。

 勤務時間というのはいわば試合中ですので、試合の中だけでうまくなろうとするのではなく、練習時間をしっかりと設けて、自分の技に磨きをかけるのがプロのビジネスパーソンとしての作法になります。ちゃんと練習をしないまま、ある日突然、英語を話せたりプレゼンがうまくなったり、プログラミングできるようになったりしないのと同様に、朝目覚めたら新しい専門性が身についていたということは、残念ながら起こらないのです。