ホンダは600社ある国内ディーラーに統合を求めるなど構造改革に乗り出している。一方、ディーラー側は国内軽視のホンダに不満を募らせている。特集『ソニー・ホンダの逆襲』(全18回)の#12では、販売店の声からホンダの課題に迫る(ダイヤモンド編集部 宮井貴之)
ソニーと共同開発するEVは期待薄
販売店が求めるのはホンダらしい大衆車
「東京モーターショーからジャパンモビリティショーへの進化を踏まえて、自動車にとどまらないホンダが考える多様なモビリティの現在と未来を展示する」──。10月下旬に開催された「ジャパンモビリティショー2023」で、ホンダの三部敏宏社長はメディア向けにこう強調した。
実際、同社のブースには「ホンダジェット」や、米ゼネラルモーターズ(GM)と共同開発した自動運転の無人タクシー「クルーズ・オリジン」、いす型小型モビリティ「ユニワン」などを展示。ホンダは旧来型の自動車メーカーの枠にとどまらない姿勢をアピールしていた。
だが、ある有力ディーラーの社長は「われわれ側から見たとき一番魅力のなかった展示はホンダだった」とため息交じりに振り返った。
無理もない。展示していた製品は直ちに市販化できるものではなかったからだ。
「軽自動車の『N-BOX』しか売れるクルマがないのが現状」(同)という販売店にとっては、サプライズでお披露目され、モーターファンを沸かせた「プレリュード」さえも、冷めた目で見ざるを得なかった。
次ページでは、ホンダがもくろむ国内販売店の再編に関する具体的な数値を明らかにするとともに、ディーラー側から見たホンダの課題に迫る。