太平洋上の島国・ニウエ。人口1800人ほどのこの国で首相補佐官を務めるのが和田泰一さんだ。日本とニウエの国交締結に一役買ったと思えば、世界中でビジネスを展開する商人の一面も持つ。自由で気ままに生きる彼の半生は「幸せになるためのヒント」で溢れていた。
気ままに生きた男の
自由で壮絶な半生
私は、2008年からニウエという世界で二番目に人口が少ない国に暮らし、2010年からこの国の首相補佐官を務めています。
ニウエはニュージーランドの北東約2400kmに位置する島国で、人口は1888人ほどの島国です。日本とニウエが2015年に国交を結んだときは、私も前線で仕事をしました。
私が首相補佐官に就任した当時、ニウエは中国としか国交を結んでいませんでした。ニウエの首相の意向で国交をもっと増やしていきたいとなり、日本の大使館に首相宛の手紙を3回ほど送りました。最初は国として認めるのは難しいという返事でしたが、2014年には外務省の担当者がニウエまで視察に来てくれて、翌2015年に日本と国交を結ぶことができました。
今でも、国交を結ぶための交渉をしたり、ソーラーパネルを設置したり、電気自動車を走らせたりとしてさまざまな取り組みをニウエで行っています。20年くらい前に「セカンドライフ」っていう仮想空間が流行りましたが、同じことをリアルでしているという感覚です。
実は、「セカンドライフ」が出始めた当時、仮想空間の中で島をつくって企業に売っていました。島には高級住宅街があって、家事使用人のバトラー付き。物質的なコストはほぼゼロなのに、けっこうな値段で売れましたね。
このように、ニウエの首相補佐官でありながら、日本を含む世界中でビジネスを展開してきました。他にもユニークなところだと、北極に寿司屋を開いたり、セグウェイの輸入代理店をしたり、ハワイで不動産事業をしたり。とにかくたくさんの成功と失敗を経験してきました。
今年はすでに、延べ100カ国を訪ねました。外交やビジネスで世界を飛び回っています。今回は、そもそもなぜ私がニウエで首相補佐官をすることになったのか。そして、気ままに生きて、やりたいことを続々と実現させてこられた「計算しない生き方」についてお話します。