超ミニマル・ライフとは、「どうでもいいことに注ぐ労力・お金・時間を最小化して、あなたの可能性を最大化する」ための合理的な人生戦略のこと。四角大輔さんの新刊『超ミニマル・ライフ』では、「Live Small, Dream Big──贅沢やムダを省いて超効率化して得る、時間・エネルギー・資金を人生の夢に投資する」ための全技法が書かれてあります。本書より、効率的かつ合理的な裸足走法についてご紹介します。
監修:湯本優/株式会社cart CEO、医師、医学博士

「より動く人がストレスが低く、幸福度が高い」――なぜ“裸足走行”が最も合理的なのかPhoto: Adobe Stock

効率的かつ合理的な裸足走法

 筆者は超スロージョグを、「ベアフットラン」方式で行っている。かかと部分がなく全体がフラットで薄いソールの専用シューズを使い、裸足に近い状態で走る走法だ。

 ベアフットランのポイントは、「かかとから」ではなく「前方寄りの足裏全体(指の付け根から真ん中あたり)」で着地する点にある。

 この「前方への重心移動」を推進力として使うため、蹴り出す脚力が不要となって驚くほど楽に走れる。さらに関節や筋肉への負担も少ないという、とても合理的な「省エネ走法」なのだ。

「より動く人がストレスが低く、幸福度が高い」――なぜ“裸足走行”が最も合理的なのかこれは5本指タイプの特殊なベアフットシューズ
(ビブラム・ファイブフィンガーズ/片足140g)

 なんとも妙な走り方に聞こえるかもしれないが、これこそが本来の人間の走り方。試しに砂利の上を裸足で歩いてみてほしい。足裏と体への負担を軽減しようと──誰もが自然と──先に説明した足の運び方になる。

 人類は元々、誰もが裸足で歩き、裸足で走っていた。つまり人類は誰もが元々は「ベアフットランナー」だったのだ。

「より動く人がストレスが低く、幸福度が高い」――なぜ“裸足走行”が最も合理的なのか超軽量ベアフィットサンダル。これでフルマラソンを走る強者もいる(ルナサンダル・Venado MGT/片足96g)

 250万年近く続けてきた、この原始的な走法を──産業革命以降の靴の進化と共に──人間はわずかこの200年で(つまり「数分前」に!)やめてしまった。その「かかと部分が厚いソールの靴」を履いての不自然な走り方によって、人間は過去にはなかった体の不調に苦しむようになった。

 人の体は環境に合わせて進化するが、それには万単位の年数が必要とされる。数百年という短期間では適応できないため、体が悲鳴をあげるのは当然のこと。

 人間本来の走法に戻すことで、体幹が正しく鍛えられる

 骨格も整うから姿勢はよくなり、各筋肉や内臓のバランスが整っていく。お通じがよくなったり、持病が治ったり、集中力が高まったりといいことばかりが起きる。

 ただし、我々は一般的なシューズに慣れてしまっているため、本来の走法を忘れている。ベアフットで急に長距離を走ると、ふくらはぎやアキレス腱を痛めるリスクがある。最初は無理せず、3週間ほどかけて徐々に慣らしながら、身に付いてしまった悪い走行習慣をアンラーンしていこう。

「超スロージョグ×ベアフットラン」の組み合わせが最強

「超スロージョグ×ベアフットラン」。現時点では、この組み合わせは最強だと思っている。

 筆者は、これを遅い午後に45分ほど行うのだが、着替えやシャワーなどを合わせて1時間で全て完結できるように仕組み化している。この「全てを1時間以内」という運動習慣は、会社員時代に構築。オフィスと自宅それぞれから徒歩3分の2つのスポーツジムの会員になり(バッグに超軽量コンパクトな靴と着替えを常備し)、「1時間のスキマ時間があればジムへ」と決めていた。

 人の気分とは不思議なもので、1時間だと気軽に行動に移せるが、1時間半だと途端に気が重くなる。

 オフィス近くのジムは会社の福利厚生施設で格安、自宅近くは自腹だが──人生への投資だと考えると、両方のジムに費やした実費の数百倍のリターンを獲得できている。

 その方式を導入するまでは、忙しいとつい運動の優先順位を下げていた。その理由を自己分析してみると、「運動前の準備と後の手間」が面倒に感じ、つい後回しにしていたことに気付いた。

 この小さな「つい」の積み重ねが、気付かぬうちに運動習慣の大きな壁となってしまうと知っておこう。

 同じような理由で「運動が面倒」と思い込んでいる方も多いはず。この思考法が身に付けば、忙しくても定期的な運動を習慣化できるので、ぜひスケジュール術に加えてみてほしい。

超スロースイムは理想的な全身運動

「平泳ぎ・クロール・背泳ぎ」を気分で自由に切り替えながら泳ぐ「超スロースイム」も体への負荷が少なく、理想的な全身運動なのでおすすめだ。

 全身を伸ばすようにゆっくり泳ぎ、「いいフロー」「深い呼吸」を意識できれば、極上の動的瞑想にもなるので、近くにプールがある幸運な方は、ぜひやってみてほしい。

 ちなみに筆者は、瞑想効果が非常に高い、自宅前の冷たい湖でのスロースイムが最も好きだ。

 これに加え、畑仕事やカヤック、フライフィッシングを日々行っているが、これらも全て立派な「中強度の運動」であり動的瞑想だ。

中強度の運動と心拍数

 これまでの連載で解説してきた動的瞑想を兼ねたスロートレーニングは「低強度~中強度ワークアウト」となる。

 例えば、短時間のゆるいヨガや平地の散歩などの、息がほとんどあがらない運動が「低強度」で、通常の長距離ランや筋トレ、テニスなどの息が苦しくなる運動が「高強度」にあたる。

 そして、これまで紹介してきた瞑想と運動によるあの多大なる効果は、「中強度」で最も得ることができる。

 ポイントは心拍数で、低すぎると効果が期待できず、高すぎると前メソッドに書いた数々のデメリットが生じてしまう。さらに「高強度」ではメディテーション効果を得づらく、運動後に疲労感が残りやすく、続けるにはかなりの精神力を要するという弱点もある。

 腕時計や指輪型のウエアラブルデバイスを使えば、心拍数が正確に把握できて便利だが、体感でもわかる。「少し息があがる」程度の運動が「中強度」だと考えてもらえばいい。

 筆者はいつも、家事や育児も「動的瞑想スロートレーニング」にカウントしている。

 例えば、風呂掃除や床拭きや掃除機かけ、子どもと遊んだり布オムツを手洗いする時間は「低強度~中強度」となる。呼吸を意識すれば瞑想効果は驚くほど高い。

 だから、家庭でこそ積極的に動きまくろう。そうすれば多くの時間を「中強度」にできる。家事も育児も「面倒な作業や義務」ではなく「心と体を整える動的瞑想スロートレーニング」だと考え、毎日ポジティブに取り組もう。

 米国での大規模調査では「より動く人がより幸せを感じ、ストレスが少ない」という結果も出ているのだから(※1)。

『健康になる技術大全』著者・林英恵さんは“「動く物=動物」という言葉があるように、もともと人間は「動く物」の一種です”“健康のためにやらなければいけないことは「運動」ではなくて、「体を動かすこと」なのです”と語っている。

 最近では、生活の全てを瞑想化すべく、いくつかの試みをしていて、素晴らしい効果を感じている。本連載のテーマからそれるので詳しくは書かないが、興味ある方は、筆者のポッドキャスト番組〈noiseless world〉を聴いてみてほしい。

(本記事は、『超ミニマル・ライフ』より、一部を抜粋・編集したものです)

【参考文献】
※1 デイブ・アスプリー『シリコンバレー式超ライフハック』ダイヤモンド社(2020)