美術館に行っても「きれい!」「すごい!」「ヤバい!」という感想しかでてこない。でも、いつか美術をもっと楽しめるようになりたい。海外の美術館にも足を運んで、有名な絵画を鑑賞したい! そんなふうに思ったことはないでしょうか? この記事では、書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から、ご指名殺到の美術旅行添乗員、山上やすお氏の解説で「知っておきたい名画の見方」から「誰かに話したくなる興味深いエピソード」まで、わかりやすく紹介します。

ガラスのピラミッドとルーヴル美術館『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』より

世界1の美術館になったのはなぜ? 人に言えない収集秘話

では、ルーヴル美術館の沿革のお話をしてみましょうか。

ルーヴル美術館の作品は基本的にはフランス国家の収集したコレクションによって成り立っています。

──へ~。まぁ、美術に興味がありそうな国ですもんね。

そうそう、「戦略的に美術を使った」って感じですよね。で、たくさんのコレクションができて、王侯貴族は美しいものに囲まれる生活をしていたんですが、フランス革命が起こって市民の力が強くなったときに「そんな美しいもんをなんで王様だけが見れるようになっとんねん!」と市民が怒って、国に訴えていったんです。

──確かに。「そんなにええもん持ってるんやったら、こっちにも見せてくれたらええやんけ!」ですよね。あ、関西弁うつっちゃった(笑)。

そうそう、そうなったらみんなにも見せないといけないよねってことでオープンしたのが、ルーヴル美術館の始まり「共和国美術館」です。平和な名前でしょ。

──確かに。「みんなの美術館」って感じですよね!

ただ、そのあとナポレオンが台頭して彼の統治が始まると、さっさと「ナポレオン美術館」に変えちゃいました(涙)。

──自分の名前にしちゃったんですか!? とんでもない奴ですね!

いや、ほんとその通り。そして、名前を変えたのをいいことに、そこに展示するための作品を略奪によって収集するようになったんです! 

他国を侵略してどんどん略奪して、飾って略奪して飾って。しかも絵画だけじゃないんです。装飾品でも金のつぼでも十字架でも、金目のものは全部持って帰ってきました!

──いやいや、もはや強盗ですよ(汗)。ちょっと洒落にならないです。

まあ、結局ほとんど返したんですけどね。

でも今でも帰属の決着がついていないものもあるんですよ。

また、フランスは植民地を多く持っていた時代があるので、そこから持ってきた所蔵品も多くありますね。

最終的には王様が集めていたコレクションだけでなくて、古代ギリシャとか、古代エジプトとか、古代オリエントとか、イスラムとかの品々も揃うようになりました。

だから、「え、どうしてこれがこんなところに?」っていう展示品がいっぱいあるんですよ。

──さっきハンムラビ法典とか言ってたんで、そう思ってましたよ。なんだかすごい歴史ですね。

まあ過去の歴史においてはいろいろあるものなんですよ。

(本記事は山上やすお著『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から一部を抜粋・改変したものです)