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老後資金をどう準備するか、会社勤めの多くの人は退職金をあてにしていると思います。しかし、何度も転職をした、自営業で頑張ってきた、という場合は退職金にあまり頼れません。会社を辞め、整骨院を開業した整体師のKさん。夫婦で働けば老後も安心と思っていたのですが、その予定が狂ってしまいました。妻が亡くなって5年、Kさんが危機感に駆られつつ、妻が残してくれた保険金を取り崩している事情とは……。(家計再生コンサルタント 横山光昭)

転職を繰り返した人、自営業の人は要注意

 今では、多くの人々が老後資金の準備を重要視するようになりました。しかし、資産形成や自助努力で老後資金を作る必要性が強調されるより前の時代を過ごしてきた人々の中には、老後資金の必要性をあまり意識せず、本気で準備してこなかった方々も少なからずいます。

 定年までに形成された資産は、生活をしながら自然と蓄えられた貯金のみ。それでも、終身雇用で働いていた人々は、退職金という形で一定の金額の資金を手にすることができるでしょう。しかし、キャリアアップのために転職を繰り返したり、自営業をしていながら十分な自衛措置を講じてこなかった人々は、仕事を辞める時期が近づくと、老後の資金不足に慌てることになります。

 老後資金が少ないときにできることとしては、少しでも長く働いて収入を得ること、そして生活費を削減して減るお金を抑えることが挙げられます。それが、老後資金を少しでも増やし、財産を長持ちさせることにつながります。

 しかし、長い年月をかけて形成された価値観や生活習慣が、これらの取り組みを難しくしてしまうのが現状です。もっと柔軟に考え、気楽に行動できれば良いのですが、実際にはそれがなかなか難しいようです。