整骨院を経営する整体師Kさんの場合
整体師のKさん(63歳)は、5年前に亡くなった妻と共に整骨院を開業し、現在は一人で経営しています。開業当初は比較的順調に事業を進めていましたが、60歳を超えてから体力的な限界を感じるように。整体師を雇って主な施術はその人に任せ、自分は顔なじみの顧客の施術に絞って営業するようになりました。
しかし、Kさんが以前のように施術ができなくなったことや、ここ数年、周辺に新しい整骨院が開業したことなどが影響し、顧客数が減少してしまいました。その結果、収入も減少し、必要経費や従業員の給料を払うと、多くても月に20万円程度しか手元に残らなくなりました。さらには、支出が収入を上回る月もあり、Kさんは今後のことに頭を悩ませています。
Kさんは、年を取っても働き続ければ豊かに暮らせると考え、整骨院を開業しました。開業資金には会社員時代にためた貯金を充てましたが、開業後は経営を順調に進めることに集中し、「貯蓄」を意識することはあまりありませんでした。夫婦2人で働き続けるつもりだから、老後も大丈夫だろうと楽観的に考えていました。2人の子どもの教育費も「なんとかなる」との思いで、「働けば稼げる、稼げば払える」と、ただひたすら頑張ってきたといいます。
妻が亡くなった後は、一人でやっていく不安と寂しさを、仕事に没頭することで紛らわせました。しかし、体力的な限界を感じ始め、現在の状況に至っています。
Kさんは、老後にこのような状況になるとは思っていなかったため、あまり貯金をしてきませんでした。現在の貯金は、妻が残した保険金を含めて約600万円です。本来はこの保険金には手を付けずにおきたかったのですが、生活費不足のため、仕方なく少しずつ取り崩して使い始めています。