「ミュージック・ステーションのサブMCもやらせていただきましたし、今やっているバラエティ番組も含めて大きい仕事はやりきったのかな、という思いはあります。もし、スポーツや情報番組を任せてもらえるのであれば、それは今までやったことがないことなので、新しい挑戦になります。ただ、『すごくやりたい』という感じではないです。『やってほしい』と言われたら、そのときは頑張ります(笑)」

この日、取材に同席したテレビ朝日の関係者は弘中さんについて「弘中綾香は使われたい人なんです。『私をどう使ってくれるの、みなさん』みたいな感じで、自分からでなく誰かにもらったお題に対して考えるのが好きなんです」と話した。これを聞いた弘中さんは「自分からってないんですよね。やれって言われたらなんでもできるんです」と答えた。

 

テレビ番組は個人競技ではなく、チーム競技とも呼ばれる。その中で自分が何を求められているのかを理解し、その最良のパーツに徹する。「激レアさんを連れてきた。」での毒舌など、番組での強烈なキャラから自由奔放にも思えるが、実はすごく組織人なのだ。

仕事において大事にしていることも、組織で働くことを意識したものだ。

「信頼される社会人になる、当たり前のことを当たり前にやる。これを自分のモットーにして働いています。遅刻しない、期限を守る、言われたことをちゃんとやるって意外とできないんですよね。目の前に仕事がたくさんあっても、一つずつちゃんとクリアしていく。当たり前のことだから褒められはしないんですよ。でも、目はつけられないし、ずっと続けるとちゃんとした人間と認められる」

「本当に仕事が忙しくて回らなくても、だらしないのではなく『弘中は仕事が立て込んでいるからできないんだな』と思ってもらえる。今、テレビ朝日に入って10年目ですけど、すごく生きやすくて。本当にやってよかったと思いますし、今はその“信頼貯金”だけで生きています」

「自分はフリーには向かない」、弘中さんが目指すこととは?

この10月、弘中さんは結婚を発表した。結婚したことで、新たな目線の変化も楽しんでいる。

「『あざとくて何が悪いの?』でも、結婚して恋愛に対してのリアリティーがなくなった分、逆に恋愛の話に入り込める。最近は恋愛ドラマにすごく感情移入しちゃうんですよ。このあいだもテレビドラマ『silent』で泣きました。結婚して、『恋愛はもう自分にはあり得ない世界』と遠くに感じるものになったからこそ、すごくキラキラと輝いて見える。自分にはもうこの世界は戻ってこないんだ、尊い……みたいな(笑)」