Beatrustは、社員間のつながりを活性化して、企業内に埋もれている知識や経験をビジネスに活かすためのコラボレーションプラットフォームを運営するスタートアップだ。日本国内で活動しながらも、創業者・原さん(Beatrust代表取締役CEOの原邦雄氏)の米国におけるビジネス経験を背景に、社員の約3割は外国籍で、社内コミュニケーションの大部分は英語で行われている。日本は成熟した大企業の存在感が大きく、そういった企業による社内イノベーション促進や部署間ノウハウの共有というテーマで、世界的に見て大きな投資がなされている国だ。したがってBeatrustのプロダクトは海外の成熟企業にとっても魅力的に映る。国内と並行して米国でも営業活動を始めているが、プロダクトもチームも世界展開を念頭に作られており、スムーズな立ち上がりを期待している。

TYPICAは、スペシャルティコーヒーの生豆を、世界各地のロースターが産地から直接購入できるトレーディングプラットフォームだ。このスタートアップも日本で設立されたが、シード段階からロースター、コーヒー産地とも世界市場を対象にサービスを展開しており、各国にチームを有する。創業者・後藤さん(TYPICA代表取締役の後藤将氏)は、欧州を拠点に常に世界中を飛び回っている。日本はコーヒーの市場としては世界で3番目に大きいだけでなく、その品質に対する要求が非常に高い国であることが知られている。TYPICAは日本発のブランドとしても、世界のコーヒー流通を変革するのにふさわしい立場にあるといえる。

日本という国に期待したいこと

フランス人は英語をしゃべらない、というステレオタイプを耳にしたことがある人は多いのではないか。これはある程度事実だった。フランスの英語教育は、文法や語彙力、作文、翻訳に重きが置かれており、ネイティブ教員が不足していることもあって、実践的な会話が充実していない。これはどこかの国でも聞いたことがある話だ。

ところがこのステレオタイプは過去の話だ。いまや20代のフランス人の8割は英語を流暢に話すと言われている。2010年にフランス政府が始めた“Programme d'Investissements d'Avenir (PIA)”(未来への投資プログラム)という経済改革プログラムの目玉のひとつは、英語教育の改革だった。高等教育での英語による授業の充実や、フランス国外の大学との提携などに政府が投資をし、その結果、若者の英語力が急激に改善した。