「しいたけぐるりこ」や「ニンジンぐるりこ」などパウダーの種類の拡充に取り組む
「しいたけぐるりこ」や「ニンジンぐるりこ」などパウダーの種類の拡充に取り組む

「食品メーカーの数だけ、かくれフードロスは存在する」

現在ASTRA FOOD PLANの過熱蒸煎機は、しいたけを生産する事業者やオリーブを栽培する農法生産法人など3社で導入されている。

事業としてはまだまだ立ち上がったばかりではあるが「毎日のように問い合わせをいただいているほか、ラボもほぼ毎日稼働して常に何らかの食品のテストをしている」状況であることから、手応えを感じていると加納氏は話す。

もともと加納氏が食品メーカー出身だったこともあり、製造した粉末の用途は食品の原料を中心に考えていた。ただ、取り組みが広がる中で、新たな用途も見えてきている。

例えばお茶やコーヒーのかすといった飲料ざんさは、1日で数十トン単位の量が発生することも珍しくない。必ずしも美味しいわけではないが、その消臭効果を活かせば消臭剤などに使える可能性がある。大量に安く粉末化すれば、食品以外の用途も見込めるわけだ。

漬物工場で大量に発生していた白菜の端材から生まれた“白菜パウダー”は、食品の原料としての使い道がなかなか見つからなかったが、ほかのスタートアップと話している中で“建材”として活用できる可能性が見えてきたという。

今後ASTRA FOOD PLANでは、過熱蒸煎機やぐるりこシリーズの普及に向けて体制を強化していく計画。循環型のフードサイクルを広げていくべく、埼玉県などで自治体や地域の生産者、教育機関などと連携した実証実験も進めていく。

9月には埼玉りそな創業応援投資事業有限責任組合、アグリビジネス投資育成(JAグループの投資部門)、三菱UFJキャピタル、IDATEN Venturesを引受先とするシリーズAラウンドで、1.8億円の資金調達も実施した。

「自分で営業をする中で気づいたのは、食品メーカーの数だけ、かくれフードロスが存在しているということです。今まで声をあげることができなかっただけで、みなさんが本当に悩まれていたのだと知りました。過熱蒸煎機とぐるりこの社会実装を進めていくことで、かくれフードロスを少しでもゼロに近づけていくことを目指します」(加納氏)