「そもそも不動産賃貸に関しては、物件情報はコモディティ化してきています。多くの物件は(「レインズ」と呼ばれる仲介業や向けのデータベースを通じて)どの仲介業者でも仲介できるようにオープンになっていて、そこで差別化するのは難しい。一方で物件情報自体はコモディティ化していても、それを正しく伝えることによって他のサービスにはない体験を作っていくことはできると考えています」(BluAge代表取締役の佐々木拓輝氏)

佐々木氏によるとカナリーの利用者は20〜30代が中心で、特に女性の比率が高い。様々な条件を加味しながら、PCではなくスマホでサクサク部屋探しをしたいという人たちが現在の主要ユーザーだ。

また傾向としては過去に引越し経験のあるユーザーからの反響が良いそう。上述したような「部屋探しにおけるストレス」を実際に痛感したことがあるため、そのストレスが軽減されることを期待してカナリーを選んでいるのだという。

デジタル化で仲介業者の働き方の変える——「物件登録作業」も必要なしに

冒頭でも触れた通り、カナリーには「仲介会社の働き方を変える側面もある」というのが佐々木氏の考えだ。

多くの仲介会社はSUUMOやLIFULL HOMESなどのポータルサイトに広告料を支払って物件情報を載せ、集客をする。この「ポータルサイトへの物件登録作業」が担当者にとって非常に負荷の高い業務となっていて、1日に数時間かかることも珍しくないという。

カナリー導入前後の不動産仲介業者の業務フローの変化
カナリー導入前後の不動産仲介業者の業務フローの変化

カナリーの場合ではそもそも入稿作業自体が発生しない。管理会社などのデータベースと連携することでサイトへの物件登録作業が自動化されているので、 担当者が手動でやる必要がないわけだ。

また同サービスでは独自のCRM(顧客情報管理ツール)を活用しながら、従来は店舗で直接行なっていた接客や電話でのやり取りをデジタル化している。そのため担当者は店舗に縛られることなく、働く場所や時間を柔軟に調整できるようにもなる。

カナリーの仲介業者向けCRMの画面イメージ
カナリーの仲介業者向けCRMの画面イメージ

佐々木氏の話では、以前から業界内でも現在の働き方に対して課題感を持つ企業が増えていたそう。入稿作業などが積み重なった結果として労働時間が長くなり、人が辞めていってしまう。一方で新しい人を採用するのはどんどん難しくなる。

そこに新型コロナウイルスの影響が合わさり、さらに変革の必要性に迫られた。

「店舗に訪れて部屋を探すという従来のスタイルではなく、手続きを極力オンラインで進めたいというニーズが増えました。部屋探しの方法が変わると、それを踏まえて仲介の方法も変えていかなければいけません。たとえば実店舗では接客をせず、オンライン上でコミュニケーションを取りながら内見などは現地集合で実施する『無店舗モデル』を試す事業者も少しずつ出てきています」(佐々木氏)