今年3月にはファーストリテイリング子会社のジーユーが多様な商品やコーディネートを紹介する目的として、自社のバーチャルモデルYUを発表。ファッション雑誌のVOGUEがCGモデルを表紙に採用するなど、大手企業や大手メディアでもバーチャルヒューマン関連の取り組みが活発化し始めている。
スタートアップ発のバーチャルヒューマンも勢いがある。世界的に有名なLil Miquela(リル・ミケーラ)はInstagramだけで270万人以上のフォロワーを獲得した。開発元の米BrudはCrunchbaseによると少なくとも過去に610万ドル(約6.5億円)の資金を調達済みだ。
“⽇本初のバーチャルヒューマンカンパニー”を謳うAwwでもimmaを筆頭にこれまで「plusticboy」「Ria」など複数のバーチャルモデルをプロデュースしてきた。
同社の大きな強みはバーチャルヒューマンの基礎技術の結晶体とも言えるマスターモデル。映像プロデューサーとしてさまざまなクリエイティブに携わり、映像プロダクションNIONの代表も務める守屋貴行氏(Aww創業者で代表取締役)をはじめ、3DCGや映像領域に明るいクリエイターたちが研究開発を進めてきた技術を集約した。
「わかりやすく言うとCGで人の顔や動きをどのように上手く作っていくか。その知見や技術を蓄積し、集約したのがマスターモデルです。自社や提携会社で世界最高クオリティのCG技術を持っていて、それをもとにマスターモデルとバーチャルヒューマンを作りだせるのが自分たちの特徴だと考えています」(守屋氏)
守屋氏自身、これまでゲームや映像作品のプロジェクトにおいてCG技術を提供する機会も多く、「おのずとCGを使っていかに人間に近いキャラクターを作れるか」を追求してきた。そのような取り組みを数年間に渡って続けてきたことで蓄積された経験や技術がマスターモデルにも活かされているそうだ。
Awwではこのモデルを基にバーチャルヒューマンを開発するだけでなく、その後のコンテンツ制作やブランディングの大部分も社内で行う。
いくらバーチャルヒューマンのビジュアルの完成度が高くても、そのキャラクターに共感されなければファンは増えない。バーチャルヒューマンを育てていく上では「ストーリーテリング」が重要なポイント。Awwには写真や映像、コミュニケーション領域に長けたクリエイターも在籍し、性格や普段発信するコンテンツの中身まで細かくプロデュースする。その技術や知見にも自信を持っているとのことだった。