奇しくも2015年にリリースした両サービス。みてねは利用者数が国内外で800万人を突破。ラブグラフの累計撮影件数も1万9000組に上るなど、多くの人が利用するサービスへと成長している。サービスを手掛ける、ミクシィ取締役会長兼みてねプロデューサーの笠原健治氏と、ラブグラフ代表取締役CEOの駒下純兵氏に、新サービスに込めた思い、そして「愛されるプロダクトに必要なこと」について聞いた。

家族やカップルとの思い出共有、でスタートした2つのサービス

みてねは、子どもの大切な写真や動画を祖父母や親戚など招待した家族だけにリアルタイムに共有することができる、写真・動画共有アプリ。2020年7月時点で写真・動画の月間アップロード枚数は1億2000枚に達し、夫婦で活用している人のアクティブ率(週に1度以上みてねを利用する人の割合)は7割以上と、多くの家族にとってなくてはならないサービスとなっている。このサービスを生み出した背景には、笠原氏の原体験がある。

子どもが生まれるまでスマートフォンに保存されている写真・動画の数は約500枚だった笠原氏だが、子どもが生まれてからはその数が急増。

今ではスマートフォンの中に2万3000枚の写真や動画を保存している。「ここまでたくさん子どもの写真、動画を撮ると思いませんでした」と自分自身に驚いた笠原氏。だが一方で家族と簡単に写真や動画を共有する最適な方法が見つからなかった。

LINEをはじめとするメッセージングサービスやGoogleドライブのようなクラウドストレージサービスは数多く存在する。だがそれらはあくまで汎用的なもの。「子どもの写真・動画を家族で簡単に共有、整理、保存できるサービスをつくろう」と思い、2015年4月にみてねのサービスを開始した。

一方のラブグラフは2015年2月の創業。駒下氏はもともとカメラマンを志望しており、大学在学中に腕を磨くため、スナップサイトで大学生の撮影をしたり、友人カップルのデートを撮影したりしていた。友人カップルが駒下氏の写真をSNSに投稿したところ話題になり、口コミで撮影依頼が増えていったという。

そこから撮影を事業化すべく、駒下氏は学生起業。自らが撮影するだけでなく、写真を撮ってもらいたいユーザーとカメラマンをマッチングし、出張撮影を行うプラットフォームとしてサービスを拡大してきた。サービス開始当初からニーズの合ったカップルのデート撮影を足がかりに、ウェディングフォトやマタニティフォト、誕生日や記念日などの家族写真などさまざまなシーンでの撮影を行ってきた。