みてねにとって「肝」となる提携

これまで写真の「共有」を軸にサービスを開発してきたみてね。笠原氏が次の一手として考えていたのは、共有する写真の「撮影」体験の向上だった。数多くのパートナー候補と話す中で、最終的に声を掛けたのが、駒下氏率いるラブグラフだった。

「以前にラブグラフで子供の写真を撮ってもらったことがあるんです。それで、自分が撮った写真と、ラブグラフで撮影してもらった写真に歴然の差があって、驚いたんです。『日常』の撮影なんですが、構図や子どもたちの表情の一番いいところを抑えてくれる。写真のクオリティに格段の差があり、ワクワク感というか、躍動感が見れてすごいなと思いました。過去にスタジオ撮影もやっていて、それはそれで良い体験だったのですが、出張撮影がすごく良い体験だと思い、これをみてね内でも提供したいと思ったんです」(笠原氏)

誕生日や七五三といったハレの日ではなく、公園で遊ぶだけの日常の写真。それなのにプロのカメラマンが写真を撮れば思い出を色鮮やかに残せることに感動した笠原氏は、ラブグラフの体験をみてねユーザーにも提供していこう、と決めた。

「(提携によって)みてね内でのコミュニケーションも活性化すると思います。下半期にはサービスを強化して、高画質なフォトブックや(写真を使った)年賀状などを提供していく予定です。高クオリティの写真をみてねに共有できるようになれば、ユーザーもそういった商品を買いやすくなっていくので、(提携が)みてねの肝となっていくと思っています」(笠原氏)

「思い出の共有」で共鳴──コロナ禍でも成長、みてねとラブグラフが提携した狙い
 

ラブグラフにとっても、今回の提携は大きな大きな意味を持つという。

「僕らも自社のグロースに繋がるかたちでのパートナーシップを考えていました。意識していたのはプロダクト同士の相性の良さで、単純に『売り上げを上げたい』というだけでは(パートナーシップを組むのが)難しいと考えていました。僕たちは写真のクオリティ、世界観など数値化できない指標も大事にしてきましたし、(ミクシィは)クオリティに対する審美眼がある会社。パートナーシップを組む選択肢はみてね一択でした」

「今までハレの日の写真撮影はスタジオに依頼することが多かったと思うのですが、撮影データがもらえず、スマホの中に子どもの写真が入ることはありませんでした。ただ今回の提携によって、みてねの中に撮影した子どもの写真がすべてある状態にできる。それにより既存のユーザーはよりみてねをを愛する理由ができますし、僕たちは届けたい層にサービスを届けられる。お互い良い補完関係になる提携だと思っています」(駒下氏)