北澤:ジャフコは昔、野村ホールディングスの子会社だったので、グループ内で資金が回っている印象があるかもしれませんが、実は“ドブ板”で(グループ外から)集めています。また自己資金の比率が高いのも特徴です。800億円のファンドも37%の資金を入れています。

今回は金融機関や事業会社を中心に資金を集めています。ジャフコの強みは出資者に適切な情報開示と情報提供をする体制を構築したことです。VCが適当な情報を共有していると出資者に信用されなくなってしまう。ただ、LP出資者向けに専任の担当を置くなど丁寧なコミュニケーションを続けた結果、これまでに金融機関、年金基金、事業会社など約1200社から出資をいただいており、再度LPとして出資していただくケースもあります。

また、投資する資金はあくまで“無色透明”でなければならないと思っているので「特定分野に特化したファンドはつくらない」「特定出資者のためのファンドはつくらない」「ファンド運用以外の事業はやらない」といった3つの運用姿勢を徹底しています。

ベンチャー企業自体が大きくなる可能性がある中で、特定分野や特定出資者に特化していては事業上の制約が出るかもしれない。それはとてもナンセンスだと思うので、ファンドの資金は使いやすい形にしておく必要があるので、この運用姿勢にしています。

藤井:出資者の人にも利益を還元していかなければベンチャー市場は成長しないですし、出資者がいなければベンチャー企業も成長しない。だからこそ、全員が健全な関係であることが重要だと思うんです。

機関投資家を含めて大きなお金を集めて、ファンドとしてきちんとパフォーマンスを出す。そして、さらに大きなお金を集めてくる。そのサイクルをつくり、ベンチャー市場を発展させていくことが自分たちの仕事だと思っています。

パートナーの藤井淳史氏
パートナーの藤井淳史氏

時代のニーズに合わせて、必要な価値を提供する

──年々、投資環境も変化していますが、ジャフコはどんなVCでありたいと考えていますか。

藤井:資金の出し手が限られている時代から、今はいろんな人が資金を出すようになってきています。その結果、1億円を投資する話でも昔は「1億円も投資してくれるんですか?」という感じだったのですが、今は「1億円だと小さいですね」ということになっている。

業界に供給される資金の量が増えたことで、資金の価値が変わってきたことは大きな変化だと思っています。ただ、海外と比較して日本のベンチャー市場が大きいのかと聞かれたら、まだまだ大きくない。今後はジャフコが資金を提供するだけでなく、他の人と協調して巻き込んでいかにファイナンスを実行していくか。巻き込み力が重要になると思います。資金以外の部分、例えば人材や営業を強化することで、大きく勝っていけると考えています。