北澤:意外と思われるかもしれませんが、ジャフコはけっこう泥臭く投資先を支援するVCです。例えば、ベンチャー企業に直接伺う件数も多いです。それはベンチャー企業に来てもらうよりも、自分たちが行った方が相手の時間を奪わないという思いからそうしています。

また人材の紹介に関しても、単に知っている人やベンチャー業界にいる人を紹介するのはあまり意味がなく、結果的にはいずれその人にたどり着くんですよね。だからこそ、そうではない人をどう捕まえるか。もし、ネットワークがないならネットワークを作りにいきます。

時には投資先が営業したい会社に対してジャフコからコールドコールをかけます。それは投資先の社名を使うよりも、知名度のあるジャフコの名前を使った方がまだアポがとれる可能性が高いからです。自分たちはそういう名前の使い方でもいいと思っています。

コールドコールをかけたり、セミナーを開催したり、はたまた大企業の社長のアポをとりたいときはIR説明会で名刺交換をしたり。投資先が具体的な売り上げをつくれるように、自分たちは泥臭く足を使って支援しています。

──具体的にどのような体制で支援を行っているのでしょうか?

北澤:基本的にはHR支援チーム、マーケティング・セールス支援チーム、バックオフィス支援チームという3つのチームをつくり、投資先を支援しています。HR支援チームは主にリクルーティングや組織構築、採用ブランディングの支援、マーケティング・セールス支援チームは販売・拡販やセミナー運営、提携先・代理店開拓の支援、バックオフィス支援チームは管理体制・経営インフラ構築、上場準備の支援といったイメージです。

ここ数年、きちんとしたビジネスデベロップメント組織をつくり、投資先にきちんとした価値を提供することに注力してきました。いまの支援チームは専門的な知見を持つ中途メンバーに加えて、ベンチャーに対して愛を持っている新卒のメンバーがミックスする形でチームを構成しています。昔は投資先に対して、ひとりがひとつの会社に関わっていたのですが、いまはチーム性にして投資先の状況や成長に合わせて、適切なチームメンバーを組み、3人くらいで投資先を支援するような形にしています。

パートナーの北澤知丈氏
パートナーの北澤知丈氏

良いときも悪いときも「継続して支援する」

──ジャフコの投資で印象に残っているのが、2010年のビズリーチへの2億円の出資です。今では億単位の資金調達のニュースも聞きますが、当時は、リーマン・ショック後ということもあり、2億円もの出資をしたのは驚きでした。そうした点も踏まえて、改めて御社の投資のスタンスについて教えてください。