藤井:ジャフコが最も大事にしているのは、良いときも悪いときも継続して起業家を支援することです。リーマン・ショック後も、良い起業家に対して成長資金を提供することはやめない、ということは会社全体で取り組んでいました。
当時で言えばビズリーチだけでなく、医師向けコミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアや、オンラインゲームの開発を行うコロプラにも出資をしています。
ビズリーチに関しては短期的には人材マーケットは求人倍率もボロボロでしたし、転職も大変な状況でした。ただ、中長期で考えると終身雇用がなくなり、自分の価値が適性に評価されてやりたい仕事をする流れはあると思いましたし、また南さん(ビズリーチ創業者で現在は同社グループ持ち株会社であるビジョナル代表取締役社長の南壮一郎氏)が言ってきたダイレクト・リクルーティング(企業が直接求職者へアプローチをする採用手法)は理にかなったものですし、南さんの経営者としての魅力。事業と人の両面で見て「良い会社」と判断して投資を実行しました。
北澤:起業家は常に先を見ている人たちなので、自分たちも先のことを考え続けないといけません。ビズリーチへの出資も大きい金額だったと思いますが、実は当時から二桁億円の出資はいくつか実行しているんです。
年々、大きく事業をつくろうと考える起業家が増えていくに伴って、自分たちも1社ごとの投資金額を上げていかないといけません。だからこそ、今回新たに800億円規模のファンドを組成することにしました。
──なぜ、800億円の規模だったのでしょうか?
北澤:自分たちが現実的に投資できる社数に対して、どれだけの資金を供給していかなければいけないか。それをもとに考えた結果、800億円という結論になりました。
ヒューマン・リソースにも限りがある中で、きちんと投資後も関わっていこうと思うと、ジャフコでは70社ほどへの投資が限界です。ではその70社が数千億円規模の会社をつくっていこうと思ったときに、一桁億円の出資では足りません。10億円くらいは必要になってくるので、その資金を投資できる形にしています。
藤井:初回で大きな金額を出資することはないと思いますが、追加投資で投資金額を上げていくことも可能です。追加で出資してもらえそうか、は起業家にとっては「ジャフコと一緒にやりたい」と思ってもらえるポイントになると思っています。
出資者、ベンチャーに対して「健全」であるために
──昨今、出資者(LP)に年金基金などの機関投資家が参加していることが特徴のVCも増えていますが、ジャフコのファンドの特徴は何でしょうか?