サイトに1行のタグを貼り付けるだけで簡単にA/Bテストを試せるツールと、クラウドソーシングでUX改善のプロフェッショナル(Kaizenではグロースハッカーと呼んでいる)を提供するサービス。現在は前者を「KAIZEN Engine」、後者を「KAIZEN Team」へと進化させた上で、1つのサービスとしてワンストップで顧客に提供している。

顧客の視点では、Kaizenに依頼すれば自社に最適なグロースハッカーたちが集結した「リモートチーム」が手配され、UX改善に取り組むためのソフトウェアを活用しながら自社サービスの課題解決をサポートしてもらえるわけだ。

単なる人材マッチングではなくKaizenが間に入ってコーディネートすることで、企業もグロースハッカーも負担が少なくて済む。Kaizenのネットワークに登録しているグロースハッカーは現在1万人を超えており、専門領域や得意分野を基に自社専用のチームが作られる。

サービスの対象も年々拡大中だ。サイトのUX改善に加えて動画制作の領域などでも同様のモデルを展開。エンタープライズ企業を中心に累計の取引社数は700社を突破した。

プロダクトの軸は初期から変わらないものの、決して予定通りには進まず困難の連続だったと話す須藤氏。今回はKaizen創業の背景から、これまで同社が辿ってきた道筋について話を聞いた。

なお、あらかじめ開示しておくと筆者は2014年から2015年にかけて学生インターンとしてKaizenで働いていた時期がある。

現在は初期から手掛けるUXソリューションのほか、動画領域やDX関連のプロダクトを複数手掛ける
現在は初期から手掛けるUXソリューションのほか、動画領域やDX関連のプロダクトを複数手掛ける。画像はKaizen Platformの公式サイトより
「このまま会議室で死んだら後悔する」リクルートの出世コースを離れて起業、Kaizen上場までの歩み
 

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リクルートと言えば起業家を何人も輩出してきた組織であり、将来的な起業を見据えて“修行”する目的で同社の門を叩く人もいる。ただ、リクルートに入社する前の須藤氏は起業については全く考えていなかった。そうではなく「仕事について楽しそうに話している人ばかりだった」ことを理由にリクルートを選んだという。

「社会人になって仕事をする時に『好きなことを仕事にするか』『仕事が好きな大人になるか』の2択だなと。自分は後者になりたいと思ったので、(仕事を好きそうな人が多かった)リクルートに決めました」(須藤氏)

9回にもおよぶ面接を経て入社したリクルートでは、雑誌のマーケティングからキャリアをスタート。新規事業の開発部門を経て、デジタル広告事業(アド・オプティマイゼーション室)の責任者やリクルートマーケティングパートナーズの執行役員なども務めた。