新聞の紙面は、連日、アベノミクスやTPP関係の記事で埋め尽くされているが、公務員改革や大学改革についても、先日、キラリと光る原石のようなうれしい記事を見つけたので、それを展開させてみた。
国家公務員試験、司法試験、
公認会計士試験にTOEFLを一括導入せよ
日経新聞(3月16日朝刊)によれば、人事院の原恒雄総裁は、15日に開かれた産業競争力会議の席上、2015年度をめどにキャリアと呼ばれる総合職を対象とした国家公務員試験に英語資格試験を導入することを表明した。これは、民間議員のTOEFL導入提言に応じたもので、英語で意思疎通ができる公務員を増やす狙いがある。グローバリゼーションが進む中、政府が英語力向上に向けた姿勢を率先して示すことで、民間企業の取り組みを促すことにもつながりそうだ。
ところで、産業競争力会議の活用については前にも触れたが、15日の会合でも、わが国の産業構造を5年で集中改革するとして、労働の流動性(労働力移動)や人材力の強化等について中身のある提言を行っている。人材力の強化の一環として学生の力を底上げすることが重要だと指摘しており、公務員試験のTOEFL導入もこうした問題意識に裏打ちされたものである。
経団連は、競争力会議を経済財政諮問会議のような法律に基づいた会議へ格上げすることを求めているか、経団連がこうした問題意識を真に共有しているのであれば、公務員試験のTOEFL(海外の団体がわが国の国家公務員の選定に影響を及ぼすことを考えれば、英語資格試験という用語の方が適切であるが、本文では分かりやすくTOEFLとしている)導入に呼応して、経団連傘下の全企業は採用面接時にTOEFLのスコア持参を義務付けると定めたらどうか。わが国の学生の英語力が一挙に向上すること請け合いである。政府にも更なる一考を望みたい。
東京市場の問題点として、英語でビジネスができる法曹人口や会計士の層の薄さが常に指摘されている。公務員試験のTOEFL導入と併せて、司法試験と公認会計士試験にも一気呵成にTOEFLを導入してはどうか。TPP交渉の参加表明を皮切りに安倍首相は成長に向けて開国を決断した。国民の支持率も高い今こそ、開国の鍵を握るわが国の英語力の嵩上げに向けて、主な国家試験へのTOEFL導入を英断してほしい。それだけでも、安倍首相は歴史に名を残すことができるだろう。