東京地検は「捜査に手心加えない」、政治資金パーティー改革は不可避12月4日、国会内で自民党役員会に臨む首相の岸田文雄(中央)、副総裁の麻生太郎(同右)、幹事長の茂木敏充(同左)ら。派閥のパーティーを巡る問題に対し、党中枢の危機感は薄い Photo:JIJI

 自民党のガバナンスは大丈夫なのか――。自民党の派閥のパーティーを巡る問題が拡大する一方なのに、総裁(首相)の岸田文雄、幹事長の茂木敏充の動きが極めて鈍い。

「このままでは2009年の野党転落の再来があるかもしれない」

 自民党衆院議員のベテラン秘書は不安を隠さない。そんな自民党を象徴するシーンを捉えた写真が11月28日付の朝日新聞朝刊に掲載された。前日の27日午後、国会内の自民党総裁室で開かれた役員会の模様を伝えたものだ。長いテーブルの左側奥に茂木、右側に副総裁の麻生太郎が着席している。

 ところが両者の間に座るべき岸田の姿がなかった。出席者によると、普段は温厚な自民党参院議員会長の関口昌一(茂木派)がテーブルをたたいて声を上げた。

「総裁がいないのに役員会を開くのはおかしい」

 岸田は参院予算委員会に出席中。関口にしてみれば予算委員会開会中の役員会開催が「参院軽視」に映ったようだ。確かに予算委員会室と自民党総裁室は同じ国会3階にあり、廊下に出れば一直線。簡単に移動できる距離にある。

 麻生が「かしこまりました」と述べてその場を収めたようだが、気まずい空気が流れたことは容易に想像がつく。岸田の役員会欠席に関しては岸田サイドから連絡があったとされたが、時間調整は可能だったはずだ。ましてや派閥のパーティー問題がこれだけ拡大しているときだけに「総裁不在」の役員会開催は党中枢の当事者意識、危機感の欠如を浮き彫りにした。