謙虚な人を“舐める”タイプには、
「胆力」に欠ける人物が多い
そもそも、自分より優秀なメンバーがいるのは、管理職にとってはありがたいことです。
そういうメンバーに思いっきり能力を発揮してもらえれば、管理職の能力をはるかに超えたチームをつくりだすことができるはずだからです。そのような相手と張り合うなど愚かしいことで、むしろ、彼らが仕事をしやすいようにサポートするほうが得策です。
しかも、「自分は優秀だ」と自負しているメンバーのほうが、実は、マネジメントがやりやすいものです。
なぜなら、「これは難しい仕事だ。君でなければできない」「この難局を乗り切るには、君の力が必要なんだ。助けてほしい」などと頼りにすれば、「その気」になって力を発揮してくれることが多いからです。
ただし、あまり調子に乗せていると、“舐めた”態度をとってくる人がいるのも事実です。能力に自信のあるタイプは「鼻っ柱が強い」ことが多いですから、そういう態度に出る確率は高いかもしれません。
でも、これはあまり気にする必要はありません。私も、何度かそんな態度を取られたことがありますが、適当に受け流すようにしていました(内心では「まだ子どもだから、しょうがないな」くらいのことは思いますが……)。
というのは、謙虚な態度を取る人に対して、“舐めた”態度を取るような人物は、たいてい胆力に欠けることを、それまでの経験で知っていたからです。
そういう人物は、偉そうなことを言うわりにはいざというときには何もできなかったり、いざというときに逃げてしまったりするものなのです。だから、私は、多少、“舐めた”態度を取られても、ほとんど気にすることはありませんでした。
自分より「優秀」なメンバーと
上手に付き合う方法
むしろ、そこにマネジメントの妙味があると思っています。
なぜなら、そういう「謙虚さ」に欠けるタイプは、生意気な態度が引き金となって、どこかで大きなトラブルを起こす可能性が高いからです。いや、ほぼ確実にトラブルをこしらえると言ってもいいでしょう。
そして、彼らの多くは胆力に欠けますから、自分のこしらえたトラブルに怯んで、しかるべき対応が取れないケースが多いのです。
だから、そんなときに、管理職として、しっかりと“尻拭い”をしてあげればいいのです。そういうことが何度かあれば、よほどひねくれた人間でない限り、管理職に対する態度を改めるようになります。
そして、自分の能力がまだ十分足りていないことや、「井の中の蛙」だったことに気づいてもらえたりもする。彼らにとっては辛い経験ではあるでしょうが、その結果、もともと仕事はできるうえに、「謙虚さ」という最強の武器も手にしてもらえるとすれば、それは本人にとっても、管理職にとっても望ましいことなのです。
管理職としては、そうして改心したメンバーを気持ちよく受け入れて、「これからも一緒に頑張ろう」と応援してあげればいい。そうすれば、彼らは管理職の強い味方として、大いに力を発揮してくれるようになるはずです(詳しくは『課長2.0』をご参照ください)。