アフターコロナで
今以上に重視される「多様性」
星野佳路
ほしの・よしはる/1960年生まれ。長野県出身。慶應義塾大学経済 学部卒業後、米コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。91年 星野温泉旅館(現星野リゾート)代表に就任。経営破綻したリゾート ホテルや温泉旅館の再生に取り組みつつ、多様な宿泊施設を運営。
Photo:Masato kato
——アフターコロナの売り手市場では、優秀な人材の確保はあらゆる企業にとって大きな課題です。観光業界では今、どのような人材が求められているのでしょうか。
一つ挙げるなら「多様さ」です。これはどの分野にも共通することですが、観光業界ではより重要なポイントと考えています。
例えば、昨今の観光業界で非常に需要が高いのがIT関係の知識やスキルに秀でた人材です。星野リゾートにも60人近くのITエンジニアが在籍していますが、宿泊予約一つにしてもオンライン上で行う時代、他社との競争を制して顧客を獲得するためのシステム作りは経営の土台になる重要な業務ですね。
さらに世界の旅行市場が活性化し、日本でもインバウンドが再拡大してくるアフターコロナにおいては、今以上に人材の多様性(ダイバーシティー)が重視されると思います。
星野リゾートでもさまざまな国の留学生を採用するケースが増えていますが、今や企業にとって「複数の言語が話せて、さまざまな文化を知っていて、多様な価値観を持っている人材」は不可欠な戦力です。
——人材の多様性を重視する採用姿勢は、あらゆる分野の企業に当てはまりますね。
就活に臨む学生の皆さんには、あまり「この業界はこんな仕事」「この業界にはこのスキル」と決め付けず、先入観を持たずに、柔軟で多様な価値観や考え方を大事にしてほしいと思います。