「TVCMなどで宣伝されているにもかかわらず、日本で実際にスマート家電を利用している人はごくわずか。それは製品同士が独立しているため、導入してもあまり生活を便利にしてくれるイメージが湧かないのが理由ではないでしょうか。
米国ではすでに、複数メーカーの家電をひとつに集約するスマートリモコンが人気を博しています。あらゆるサービスを開放的につなげる仕組みこそが、モノとインターネットの融合であるIoTの本質だと思ったんです」
そこでstakでは、モジュールを増やすことで「拡張」できる仕組みを採用した。たとえば寝室ではリモコンモジュールとフレグランスモジュールを設置して、睡眠30分前から空調とリラックスできる香りを流し、玄関では照明モジュールだけを設置。外出時にはstak本体を持ち歩いて虫よけやカメラを使うなど、シチュエーションにあわせて必要な機能だけを利用できるようになる。
サブスクリプションモデルを採用したのも、サービスの拡張に伴って継続的な収益を上げるためだ。現在は本体のみ月額480円で各モジュールは買い切りだが、利用可能なモジュールが増えた頃には、全てのモジュールを定額で利用可能にするつもりだという。
「日本のIoT製品は『出して終わり』のものが多く、ユーザーにとっては長く使い続けることができるのかわからない。それが購入をためらう一因になっていたのではないでしょうか」(植田氏)
「サブスクリプションモデルを採ったIoT製品というと聞きなじみがないかもしれませんが、イメージしてほしいのはAmazonプライムです。初期は翌日配達や送料無料のみを提供していましたが、いまでは映画やドラマ、音楽の配信などサービス範囲が大幅に拡大しています。stakもモジュールの充実によって、『進化する』サービスを目指します」(植田氏)
モジュール拡張型のスマートデバイスというコンセプトが支持され、前述の通り2018年11月に行ったクラウドファンディングでは300万円以上を集めた。stakの製造や販売に注力するために、2019年2月には社名もstakに変更した。
すでにハウスメーカーの積水ハウスや、貸し会議室を運営するティーケーピーも導入を検討中。利用者が部屋を出たら自動でエアコンやテレビのスイッチを切るなど、節電目的での利用を想定しているという。
あらゆるIoTメーカーと「協業」関係でありたい
拡大市場とはいえ、大手家電メーカー各社やスマートスピーカーを手がけるAmazon、Googleなど、先行企業が多数存在するIoT市場。リソースの少ないスタートアップとして、こうした企業とどのように関わっていくのか。