政府も注目する置き配
気になる「盗難」への対策

 実は、Yperが掲げる「再配達削減を目的とした置き配の促進」には政府も注目している。経済産業省と国土交通省が中心になって2019年から「置き配検討会」を開催。この会にはYperと楽天も参加しており、今回の提携はここでの出会いがきっかけになったという。

 置き配検討会では、置き配の効果や、普及させるための課題などが議論されている。2020年3月31日に開催された第5回検討会では、これまで消防法によって集合住宅の共有部に宅配物をおくことは原則禁止されていたが、避難などの支障にならなければ問題にならないことが明文化されるなど、法的にも置き配を利用しやすくなる動きがあった。

 一方で、大きな課題に挙げられたのが、置かれた荷物の盗難リスクだ。特に2020年3月からアマゾンジャパンで置き配が標準の配達手段になっており、設定を変更しなければ再配達は行われない。置き配で配達されることになった際には、突然玄関前に荷物を置かれたことを不安に感じた人も少なくないはずだ。

 検討会では、盗難リスクを低減のための施策として、アマゾンジャパンのような被害状況に応じて商品の再送や返金に応じる対応や、OKIPPAのワイヤー付きバッグとアプリでの配送状況確認などを挙げている。加えてOKIPPAでは東京海上日動火災保険と合同でプレミアム会員のサービス(100円/30日)を提供している。サービスの加入者には最大3万円の補償を用意している。

「もちろん、OKIPPAのバッグが100%安全というわけではありませんが、今のところバッグに入れた荷物が盗難されたという報告は1件も入っていません。まだ正解はわかっておらず、引き続きより安全な運用方法を検討しなければなりません」(内山氏)

コロナで見えた意外なメリット
バッグ販売数は前月比で2倍に

 新型コロナウィルスの影響で、在宅機会が大きく増えた昨今。荷物を受け取りやすくなったので置き配の需要も減少しているかと思いきや、むしろOKIPPAの注文数は増加。3月に入ってバッグの販売数は前月の約2倍になり、3月9日から受付開始したバッグの無償配布には、110個の配布数に対して3日間で約4000の応募があったという。

 実は、外出機会が減ったことで、置き配の新たなメリットが発見されつつある。在宅ワーク中は荷物を受け取ることも可能だが、オンライン会議などインターフォンを鳴らしてほしくない機会も多い。そのため置き配で配達してもらい、会議終了後に荷物を回収する人が増えているのだという。