DUETの開発を通じて、どうすればAIで飲食業界の課題を解決することができるのかを考えてきたという舛田氏。飲食店の電話予約受付に注目したのは、予約の変更、キャンセルという繁忙時間に多いやり取りを自動化することで、店員が目の前の接客に専念できるからだと説明する。

「『人々の働き先がなくなる』『支配される』など、AIの発展に悪いイメージを持つ人は少なくありません。しかし、LINE BRAINが目指すのは“優しいAI”です。店員がやりたいことに集中し、それ以外の仕事を引き受けることこそがAIの役割だと考えています」(舛田氏)

日本語やアジア言語の精度でGAFAに優位性

 同じ音声AIによる予約サービスで先行するのがGoogleだ。同社が米国で提供する音声AIの電話予約代行サービス「Duplex」が2018年11月からサービスを開始して話題を呼んだ。これに限らず、AIのグローバル市場ではGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)の躍進が目立つ。

 そんな巨人たちに対して、LINEは国内マーケットにフォーカスする。LINE BRAIN室室長の砂金信一郎氏は、「LINEは日本語の教師データを非常に集めやすいポジションにいます。日本語やアジア言語の精度をいち早く高めれば、GAFAに対しても優位性を獲得できるはず」と語った。具体的なデータの集め方については、今回の発表では触れられなかった。

 また舛田氏はLINE BRAINの戦略について、何らかの分野でナンバーワンになる優れたプロダクトを開発すること、BtoBサービスであってもユーザー目線を忘れないこと、パートナー企業と協力していくことを挙げた。

エンジニア以外でもAIを調整可能に

 LINE BRAINの大きな特徴は、導入後のメンテナンスを簡単に行える「ビルダー」と呼ばれるツールを用意する点にある。AIの継続的なチューニングは、導入企業にとっての大きな障壁になっていた。例えばチャットボットなら正しく受け答えできていなかった質問内容を調査し、新たな教師データを与えなければ、回答は正確にならない。

 だがビルダーを使えば、複雑な操作なしにAIの挙動を確認したり、教師データを追加したりできるという。熟練のAIエンジニアでなくてもチューニングできるという触れ込みで、企業の導入障壁を下げるのが狙いだ。

 それでは各プロダクトを概観しよう。チャットボットでは、一問一答式の受け答えをするFAQ機能と、質問の答えを絞り込むことで購入したい商品を選択させるシナリオ機能、飲食店の予約に対して来店時間や人数など、必要な情報を漏れなく入手するための質問を返すスロットフィリング機能を用意する。カスタマーサポートや自社内でのFAQへの使用を想定しており、LINEが実施した日本語での精度実験では、グローバル企業(具体名は非公開)のチャットボットよりも高い正答率を記録したという。