最近、Vtuber(参考:バーチャル・ユーチューバー:架空のキャラクターになってYouTubeなどで情報発信している人)で美少女になっている友人がおじさんなのに会うたびにどんどん可愛くなっていくんです。
どうやら、バーチャル上の外見が変わると、かわいいものやコスメに興味が湧くみたいなんです。まるで人間の進化を目の当たりにしているようで、「精神とは何ぞや」という気持ちになって怖くなりました。
徳力 すごいですね。VRによって人間がこれから進化し始めるということでしょうか。ブロックチェーンの方は、いかがですか。
けんすう ブロックチェーンが普及することで、「コピーできるもの」と「コピーできないもの」という感覚がはっきり分かれるようになると思います。
モノがデジタル化してコピーが可能になったので、価値がないように感じたという面はあると思っています。なので、たとえば音楽だと、音源を買うよりもライブにいく、といったような「モノからコトへ」と変化したといわれたりしていますが、今後は「デジタルだけどコピーできない」というものが容易に可能になっていくのかなと。
人は、アナログだから価値を感じやすい、デジタルだから価値を感じにくい、というわけではなく「複製が容易かどうか」で価値を感じると思っています。この感覚は僕がネイティブではないので、頭でようやく理解しているという感じです。なので、ビットコインは、デジタルだけれども価値があると見なされたわけです。
徳力 最近は、ブロックチェーン上で個人をカード化できる「FiNANCiE(フィナンシェ)」というサービスがスタートしましたが、私も正直なところまだピンときていません。
けんすう デジタルだけどコピーできないから価値があるという感覚は、僕らは身体的に感じることはできていないのかもですね。
好きなクリエイターに「祈り」を還元できる仕組みを
徳力 アルは、マンガファンのコミュニティですよね。そもそも、けんすうさんは、なぜアルを立ち上げようと思われたのですか。
けんすう クリエイターであるマンガ家にファンの好きだという気持ちを届ける場所をつくりたいという思いがありました。ユーザーがネットへの書き込みで自己承認欲求を満たそうとすると、ネガティブな書き込みの方が称賛を受けやすいため、ネット言論全体がネガティブな方向になりやすいんです。
でも、ネガティブな意見ばかりだと、クリエイターは次の作品を書きにくくなってしまいます。その状況を変えたいと思って、マンガ家への「祈り」のような存在をつくろうと考えました。