「最初にReproを提供した際、クライアントとなった“アプリ提供者”は、自らアプリを開発している企業でした。ですが僕らは今、アプリだけでなくウェブサイトのデータまでを取得できるようになりました。アプリを作っている企業はITのリテラシーが高いので、ユーザーとのコミュニケーションをコード、デジタル化したいという思いを持っています。ですがウェブサイトの運営者は(アプリ開発企業だけではなく、メーカーなどの非IT企業を含むので)それよりもITリテラシーが低い企業も多い。
そうなると、自前でDMPをやるんだと言ってデータを蓄積しても、プロジェクトが頓挫するケースも多い。ですがデータを顧客とのコミュニケーションに使い、ひいては売り上げの拡大に繋げたいとは考えてます。そういったときにReproを見つけて、利用して頂くというケースが増えています。競合の製品をリプレイスするようなニーズもありますが、(レガシー企業を中心に)まだまだマーケット自体が広がっていると思います」(平田氏)
平田氏はReproが実現するのは(1)企業のデータ活用、(2)(ITリテラシーが決して高くない)企業のマーケターによる運用――の2点だと説明する。このため、製品の開発に加えて、プロフェッショナルサービス(導入、設計から運用までの支援サービス)の提供にも力を入れ、「導入しても現場が使えない」ということにならないよう努めているという。プロフェッショナルサービスは事業面での貢献度も高く、すでに売り上げの15%を占めるまでになっている。
重要性を増す既存顧客の“囲い込み”
Reproは今回、資金調達の発表と合わせて、これまで「マーケティングプラットフォーム」とうたってきた自社製品・のブランディングを「カスタマーエンゲージメント(CE)プラットフォーム」に変更した。その背景にあるのは、冒頭にあるとおりだが、企業が新規の顧客の獲得以上に、既存顧客を囲い込むことが重要になるという同社の考えだ。
平田氏は、サブスクリプション(定額課金)、OMO(Online Merges with Offline)、IoTという、IT業界を中心に広がる3つのビジネストレンドを挙げてその意図を説明する。
「サブスクリプションでは、いかに顧客が解約をせず利用し続けるかが大事になります。OMO、つまりネットでも実店舗でもモノが買える時代であれば、自分たちのところでモノを買ってもらうためのマインドシェアを取らないといけません。またこれまでの家電などは、故障したらメーカーにクレームの電話がかかってくるようなことがありましたが、IoT製品ならば故障の予兆を検知して、スマホに通知を送るようなこともできます」(平田氏)