自宅で運動を継続してもらうには、一定の「強制力」が必要だというのが蒋氏の考えだ。ライブレッスンは予め時間が決まっている上に、先生に見られるので緊張感もある。自由に時間を選べて、自分1人で進める録画配信に比べて強制力が大きい。
一方で少人数のライブレッスンならではの難しさもある。録画配信とは違ってレッスンごとに参加人数の上限が決まっているため、サービスを拡大していく上では毎日複数のレッスンを安定して用意できる仕組みが不可欠だ。またユーザーがどんな場所からアクセスしても、最低限の画質や音声環境を担保できなければならない。
アプリの自社開発や、保証制度で高い継続率をキープ
SOELUでは現在までに個人投資家やANRI、KVP、iSGSインベストメントワークスなどのベンチャーキャピタルから累計で5億円以上を調達しているが、その資金を基に基盤作りに力を入れてきた。250人以上のインストラクターとタッグを組みレッスンの数を拡充するとともに、キモとなるライブ配信システムも他社のビデオ通話ツールから内製に切り替えるなど、サービスの品質を追求してきた。
その上で「より継続しやすくなるため」のユニークな工夫も取り入れている。赤ちゃんが泣いてしまってレッスンが続けられなくなったら再度チケットを保証してくれる制度や、出産前などに最大6カ月間休会できる仕組みは代表例だ。
これらの仕組みがワーキングマザーやマタニティを中心としたユーザーを惹きつけ、延べレッスン受講数は10万回を突破。ユーザーの1年後継続率も90%を超える。
新たな取り組みとしては、2月下旬をめどにライブビューイングのようなかたちで、人数制限なくレッスンを閲覧できる機能を搭載する。上限人数を超えて参加するユーザーはあくまでライブを視聴するだけで、個別のフィードバックはもらえないが「お気に入りの先生であればライブビューイング形式であっても参加したい」というユーザーも多いそうだ。
20~40代、低価格フィットネスの覇権を狙う
一口にフィットネスサービスと言っても、ユーザー層や価格帯などに応じてその領域は細かく分かれるが、SOELUがまず狙っていくのは「20代~40代の女性向け×低価格」の領域だ。
たとえば中高年の主婦向けフィットネスでは2000店舗を構え80万人以上の会員数を抱える米国発のカーブスが圧倒的な存在感を放ち、男性ビジネスマン向けには、無人ジムスタイルを取り入れたエニタイムフィットネスやジョイフィットなどが勢力を広げている。