中学受験で「習い事をやめて塾に専念」を絶対やってはいけない理由写真はイメージです Photo:PIXTA

「中学受験で習い事をやめるのはオススメしない」そう語るのは、日米で学習塾を経営し25年間で延べ5000名以上のバイリンガルを育成しているTLC for Kids代表の船津徹氏。「こんなにも具体的で内容が詰まっているものは初めて!」「目からウロコ」と子育て世代に話題の新刊『「強み」を生み出す育て方』の中から、25年間の塾経営でたどり着いた【中学受験の乗り切り方】をお届けする。

中学受験で習い事をやめる→NG!

 都市部を中心に「中学受験」がブームです。受験が過熱して起こるのが「低年齢化」です。ひと昔前は小学4年生くらいから中学受験に備えて通塾をスタートするのが一般的でしたが、今では、小学校入学と同時に受験塾に通ったり、「受験塾に入るための塾」に通う子どもが増えています。

 同時に、習い事を全てやめて受験に集中する家庭も増えています。しかし、受験のために習い事をやめるのは賢い選択ではありません。

 習い事と中学受験は両立できます。「受験勉強だけ」の詰め込みは、能率が上がらないばかりか、受験後に子どもを「燃え尽きさせる」原因になるのです。

 習い事をやめるのではなく、練習時間や回数を減らし「細く長く続ける」ことを考えてください。

「短い時間で多くのタスクを終わらせる」習慣づけで、両立は必ず成功します。たとえば、国語、算数、理科、社会、4つの課題がある場合、それぞれを15分間、合計1時間以内でこなすように目標を定めてみましょう。さらに、勉強の合間に習い事の練習を組み入れます。ピアノを習っている子でしたら、勉強の合間に「5分間」ピアノの練習を入れるイメージです。国語→算数→ピアノ→理科→社会→ピアノという要領で、タスクの切り替えを意識すると、集中力がアップします。

 それでも、子どもが「勉強に集中したいからやめたい」と言ってきた場合は、習い事を続けるメリットを伝えて、子どもに考えさせるようにしましょう。

「中学に入学してから習い事を再開すればよいという考え方もあるかもしれないけれど、受験勉強中に習い事を続けてきた子と、やめてしまった子の間にはメンタル面と技術面の大きな差が生まれることは想像できるよね」と伝えて、練習量を減らしても構わないので習い事を継続するように促してください。

 学校、塾、習い事と忙しい中でもマルチタスクをこなし、苦しくてもあきらめずに努力を継続してきた子どもは、「やり抜く力」という「宝物」を手に入れることができます。この力が身につくと、中学に入学後も、さらに高いゴールに向かって自主的なやる気で勉強に励むようになります。もちろん、部活や人間関係にも努力を惜しまず、100%全力で向き合うことができます。さらに、大学進学、就職、キャリア形成においても目標意識を持ってチャレンジを継続できるようになるのです。

 子どもの意思を尊重したいからと、次々に習い事を変える親がいます。子どもの人間形成にとって重要なのは、たくさんの習い事をかじることではなく、1つのことを「やり抜くこと」です。これこそが「人間力」の高い、魅力的な人材を育てる秘訣です。

「わが子にピッタリの習い事を詳しく知りたい!」という方のために、著書『「強み」を生み出す育て方』ではオリジナル診断を掲載しています。気質×才能の25タイプ別診断で「わが子にピッタリの習い事」をセルフ判定できます。

子育て成功のカギは「強み育て」にある

中学受験で「習い事をやめて塾に専念」を絶対やってはいけない理由「強み」を生み出す育て方』 (船津徹・ダイヤモンド社)定価:1980円(税込)

 子どもが社会の変化に翻弄されずに、自分らしく幸せに生きていくには、失敗や挫折に負けない「たくましさ」を確立しなければなりません。一生ものの武器になるたくましさですが、どのように育てれば良いのでしょうか?

 たくましさが育つ要因は、家柄、血筋、遺伝ではありません。もちろん親の学歴や職業も無関係です。「子どもの潜在的な強みを引き出すこと」でたくましさは育つと断言できます。

 つまり、子育てで最優先すべきは「強み育て」なのです。強みは、音楽でもスポーツでも勉強でも、なんでもいいのですが、習い事は強みを育てる最高のチャンスになります!だから習い事選びは「子育て成功」に直結するのです。